結論から言えば、日商簿記2級を取得していれば経理の実務経験なしで経理に転職することは可能です。
実際に私はプライム上場企業で採用担当をしていましたが、【簿記2級で実務経験なし】の方を採用したことは何度もあります。
簿記2級があれば必ず実務経験なしでも転職できるのではなく、年齢に応じた対策が必要となります。
この記事は、日商簿記2級を取得済の経理未経験の方向けに、簿記2級を活かしえて経理に転職するコツを解説しています。実際に私も20代で未経験から経理に転職しており、現在は海外駐在でCFOを勤めているのでお役に立てるかと思います。
では、纏めていきます。
【前提】簿記2級合格者が狙うべき企業
経理に限らず未経験者採用は年齢が若い方が有利となります。
30代が20代も応募する企業に未経験で応募しても採用される可能性は極めて低いです。もし、20代と勝負するならば、未経験でも簿記1級・英語が話せるなど20代と異なる強み(武器)を持つ必要があります。
経理の年齢別の応募目安を表で説明した方がイメージがつきやすいので表で解説しますね。
<資格と応募企業の目安>
項目 | 年齢 | プライム上場 | スタンダード上場 | グロース上場 | 未上場企業 会計事務所 |
① | 20代前半 | △ | △ | 〇 | ◎ |
② | 20代後半 | × | △ | △ | ◎ |
③ | 30代前半 | △ | △ | △ | ◎ |
④ | 30代後半 | × | × | × | △ |
⑤ | 40代以上 | × | × | × | △ |
<内定確率>
- ◎=50%
- ○=20%
- △=10%
- × = 3%
20代は英語力があればプライム市場の企業から内定を貰える可能性が高いので英語力がある方は、プライム市場を目指してみてはいかがでしょうか。
上場企業では35歳以上の未経験者の採用の実績を聞いたことがないので、確率は非常に少ないと考えられます。実際に私の勤め先では、設立して以来一回も採用がないとことです。
経理は実務経験を積めば、転職をしやすい職種なのでなるべく若いうちに経理経験を積むことをおすすめします。
【宣伝】経理のキャリア相談を承ります
経理のキャリアは多種多様なプランがありどの道を目指すかで優先して経験・勉強すべきことは異なります。
例えば、
- 年齢
- 将来経理以外の職種につきたいか
- マネジメントをしたいか
- 制度会計、税務、管理会計、財務、原価計算のどれを武器とするか
- 未経験から経理になるには何をしたら良いか
貴方が置かれている状況をヒアリングして、貴方に最適なキャリアプランをアドバイスさせていただきます。
また、キャリアに関する質問にも回答させていただきますよ。
ココナラで体験談をもとにキャリア相談を承っていますので良かったらご利用ください。→経理のキャリアアップ 経理の転職相談を承ります
【参考】年代別の簿記2級実務経験なしでの転職のコツ
各年代に合わせた転職活動のコツも記載していますので良かったらご覧くださいね。
20代→【簿記2級持ち20代経理未経験】が経理に転職するコツ【経理採用担当が解説】
30代→【簿記2級持ち20代経理未経験】が経理に転職するコツ【経理採用担当が解説】
40代→【簿記2級持ち20代経理未経験】が経理に転職するコツ【経理採用担当が解説】
【STEP1】簿記2級実務経験なしの書類選考のコツ3つ
経理未経験者を採用する場合には、まずは3つの側面から他の候補者を比較します。
面接まで進めば人柄を見ますが、書類選考は下記の3つの評価が主体となります。
- 年齢(若ければ若いほど基本的には有利)
- 簿記系統の資格(簿記2級あれば書類選考は通りやすい)
- 英語力(TOEIC800点超~有利)
経理未経験者の採用の場合には、職歴は参考程度です。事務職など経理に少し関連した職種でExcelの扱いに長けていたら有利になります。もし、経理の経験者が欲しければ経験者で募集をしますので、未経験者を採用するのは伸びしろを期待して採用するがほとんどです。
簿記だけでなく決算書を読めることをアピールすると有利です。例えば、面接で志望企業の財務諸表で気が付いたことを述べるだけでも好印象ですよ。
決算書の読み方が分かる本→【決算書の読み方】の勉強におすすめの本5冊【分かりやすい書籍を経理が厳選】
【ポイント】経理未経験で書類選考が通らない場合のやるべきこと3つ
書類選考が通らないときの対策は大きく分けて3つあります。
- 職務経歴書の添削サービスを利用する
- 応募企業のレベルを落とす
- TOEIC800点 を目指す(簿記1級よりコスパが良い)
1から順番に優先して対策していきましょう。
職務経歴書は第三者に客観的に添削を受け修正することで、企業に貴方の魅力が伝わりやすくなります。
職務経歴書の改善は直ぐに対策できて効果が高いので、対策をして損はありません。
職務経歴書と履歴書の添削サービス→【職務経歴書・履歴書の添削サービス】有料・無料ごとにおすすめを紹介
簿記2級実務経験なしにおすすめな転職エージェント
私が営業から経理に未経験で転職をしたときは、下記の転職エージェントを利用して活動を進めていました。
エージェント種類 | オススメなポイント | 体験談 |
リクルートエージェント | リクルートエージェントは求人数No.1 非公開求人の紹介、転職市場の動向、過去の事例などを考慮し、非公開求人も含めた多数の求人の中から最適な求人を紹介します。 | 【リクルートエージェントの特徴】体験談と評判からメリットとデメリットを解説します |
doda | dodaが取り扱っている求人のうち、80%以上がサイト上には公開されていない非公開求人です。 自分では見つけられなかった求人もエージェントサービスに登録することで見つけることができます。 | 【dodaの特徴】体験談と評判からメリットとデメリットを解説します |
マイナビジョブ20's | 人材サービスを幅広く扱うマイナビの中でも、20代を専門としているのは『マイナビジョブ20's』のみです。 マイナビの情報網を活かしつつも、20代という若年層に特化しているからこその強みがあります。 通常の転職サイトでは掲載されていないような"非公開求人"が80〜90%を占めています。 | 【マイナビエージェントの特徴】体験談と評判からメリットとデメリットを解説します ※マイナビエージェントの体験談を参照 |
【STEP2】簿記2級実務経験なしの面接のコツ3つ
企業が日商簿記2級保有者に求めることを知れば面接対策をたて易いです。
大きく分けて3つのことを期待しています。
- 単体決算業務に早く従事して欲しい
- 自分なりの経理のキャリアプランを考えて欲しい
- 既存の経理メンバーと仲良くやって欲しい
では、一つ一つ解説していきます
①単体決算業務に早く従事して欲しい
企業が日商簿記2級持ちを採用するメリットとは、簿記の基礎知識があるので新卒と比較して成長速度が早いことです。
なので、簿記の基礎知識だけでなく、経理の実務に素早く対応できるようにExcelを身につけておくことをお勧めします。
具体的にはExcelを使えることを、職務経歴書でアピールしてExcelを使用した業務が得意な旨を面接で伝えれば面接官に好印象を与えられます。
Excelについては、下記の記事で紹介してる本のレベルをマスターすれば実務でも対応できます。
Excelが学べる本→【経理で使うExcelが学べる本5選】エクセルで業務効率化を狙える書籍を紹介
②経理のキャリアについて真剣に考えているか
未経験者を採用して困るのが、経理で実際に働いてみたけどイメージと違ったと言われて退職されることです。
経理未経験の方が、経理部に入社してから数十年のキャリアアップのイメージが出来ていると、経理の業務内容を良く理解できて安心できます。
例えば、経理部門に入社して単体決算業務→連結決算業務→管理会計→工場経理→海外子会社→国内子会社の経理部長を目指すなど、具体的に説明すると相手に伝わりやすいです。
なんとなく経理を目指したのではなく、経理の業務内容をしっかりと調べて、理解した上で経理を目指したことを伝えるのが大切です。
採用する側の目線では、未経験で経理をやりたいと言う方は多いですが、日商簿記2級の資格を取得して更に経理キャリアを描いている方は、経理が本当にやりたいことが分かります。
経理職種への熱意が高いと、退職の可能性は低いと考えることができます。
CFOを目指す人におすすめな本→【CFOを目指す人におすすめな本5選】経理のキャリアが学べる書籍を紹介
③20代後半や30代前半の場合には年下の既存メンバーと上手くやれるか
未経験者採用の場合には、職位と等級は低いのが一般的です。
また、未経験者にはOJTで教育係が付いて実務を教えていきます。
年齢を配慮して教育担当者をつけますが、社内の事情により貴方より年齢が低い社員が教育担当になることもあります。また、管理職は年上でも実務の業務を担当しているリーダーが貴方より年下の場合もあります。
年下でもその会社での社歴は先輩となるので、敬意を持って接する必要があります。
年下からの指導でも素直に受け入れることができる人材でないと、採用が難しいのが現状です。
採用する側の目線では、前職で後輩の指導経験があった人材などは優秀なので採用したいです。しかし、経理として未経験の立場で年下から教わることに抵抗感がないか心配となります。
実際に勤務先でも年下からの指導が耐えられずに退職してしまった方はいます。
年齢構成が気になる場合には、質問でメンバー構成などを聞いてみましょう。
企業も採用する人材には長く勤務してもらいたいと思っていますので、詳細に説明してくれます。
人間関係を円滑に進めるのに役立つ本→【交渉力が身につくおすすめの本】折衝力を高めるのに役立つ書籍を紹介
【Q&A】簿記2級だけでは転職が厳しい?
簿記2級だけでは転職が厳しい?かと聞かれること多々あります。
正直に言えば年齢次第と言えます。
一般企業の経理で考えれば、3か月以内で内定を貰える目安は下記の通りです。
- 20代:90%
- 30代前半:70%
- 30代後半:10%
- 40代以降:3%(ほぼ0%)
仮に3か月で内定がでなくても、20代・30代前半ならば真面目に転職活動(狙う企業を間違えなければ)をしていれば内定は出ます。
30代後半以降は簿記2級で一般企業の経理を狙うのは正直に言えば厳しいと言わざるを得ないです。
30代後半以降で簿記の知識を活かしたければ、会計事務所や税理士事務所も視野に入れて転職活動を進めてみてはいかがでしょうか。
【注意】簿記1級で実務経験なしより簿記2級で実務経験ありが有利
簿記2級で実務経験なく転職で苦戦をして簿記1級をを目指す人がいます。
しかし、簿記1級を取得するよりも転職活動に力を入れて実務経験を積むことを最優先にすることをおすすめします。
経理は年齢が上がるにつれて実務経験が重視されるので、中小企業やベンチャー企業に入社して実務経験を積む方が簿記1級よりも市場価値が高くなりますよ。また、簿記2級を取得していれば実務経験がなしても興味を持ってくれる企業はあるので粘り強く転職活動をしてみてください。
また、簿記1級は難易度が高く取得するまでに早くて半年程度かかり通常は1年程度の時間がかかります。
簿記1級と転職活動を並行することはおすすめできます。簿記2級からステップアップして簿記1級も目指している姿勢は面接官に好印象を与えます。
簿記1級は独学では不可能に近いので通信講座をおすすめしますが、現状は費用が高額なのでまずは無料講座で勉強をしてみてはいかがでしょうか。
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CPAラーニングの特徴は下記の通りです。
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具体例を見て頂いた方が分かりやすいかと思いますので、私の結果を貼り付けます。
適職診断で使うのは、【職務適性】です。
実際に職務適性を見ると、経理が9と出ています。私自身も経理にとても向いていると考えていますので、分析の精度の高さが伺えます。
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仕事の価値観診断の纏め→【仕事の価値観の無料診断】転職の成功には適性を知るのが大事な理由
簿記2級実務経験なしで経理に転職するコツの纏め
企業が未経験者の経理に求めることは、どの企業も共通しています。
企業が求めることを理解できれば対策は容易なので、しっかりと準備して内定を勝ち取ってくださいね。
転職に関するオススメな本→【20代の転職におすすめな本5選】30代の初めての転職にも役立つ書籍を紹介