税理士試験の科目合格は、1科目のみでも経理への転職には有利になります。
実際に私は税理士試験の科目合格(簿記論・財務諸表論)の段階で、営業から経理未経験で転職しましたが、どの企業からも税理士試験の科目合格については非常に高い評価を頂いていました。
なので、税理士試験の科目合格者は一般企業の経理への転職は、他の候補者と比較すると非常に有利な位置からスタートとなります。
この記事では、税理士試験の科目合格者の方に向けて、科目合格が一般企業の経理への転職するコツを解説しています。実際に私が税理士試験の科目合格を武器に一般企業の経理に転職した体験談と経理の採用担当の経験を記載するのでお役に立てるかと思います。
では、纏めていきます。
【前提】税理士試験の科目合格の価値と履歴書の書き方
大前提として税理士試験の科目合格は履歴書に書けるのか?と言う疑問がありますよね。
結論から言えば科目合格でも間違いなく、履歴書に書けます。
転職エージェント(リクルートエージェント)にも確認をしましたし、実際に私は堂々と税理士試験の科目合格を記載して転職活動をしていました。
具体的には履歴書の資格欄に下記のように記載をしていました。
- ××××年12月 税理士試験 簿記論 合格
企業からも面接で税理士試験の科目合格を褒めて貰えたので、合格者は5科目合格していなくても忘れずに記載をすることをおすすめします。
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経理のキャリアは多種多様なプランがありどの道を目指すかで優先して経験・勉強すべきことは異なります。
例えば、
- 年齢
- 将来経理以外の職種につきたいか
- マネジメントをしたいか
- 制度会計、税務、管理会計、財務、原価計算のどれを武器とするか
- 未経験から経理になるには何をしたら良いか
貴方が置かれている状況をヒアリングして、貴方に最適なキャリアプランをアドバイスさせていただきます。
また、キャリアに関する質問にも回答させていただきますよ。
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【結論】税理士科目合格者が一般企業の経理へ転職するコツ4つ
では、税理士試験の科目合格が一般企業の経理へ転職するコツを紹介します。
まずは、箇条書きで纏めていきますね。
- 応募要件に簿記2級と記載されている求人を狙う
- 将来の成長力をアピールする
- 単体決算の求人を狙う
- 一般企業用の面接対策をする
では、一つ一つ解説していきます。
① 応募要件に簿記2級と記載されている求人を狙う
応募要件に簿記2級と記載されている企業は税理士科目合格者にとって狙い目です。
狙い目な理由は下記の通りです。
- 簿記2級の取得者を評価するのであれば当然税理士科目合格者も評価する
- 簿記2級を要件としているので簿記2級合格者との戦いになり相対的に有利(1級や科目合格要件と比較して)
- 簿記(資格勉強)の重要性を理解しているので面接でも努力を認めて貰いやすい
簿記2級を要件としている企業は経理部としても優良なことが多いので、内定後も働きやすいですよ。
② 将来の成長力をアピールする
税理士試験の科目合格をした人材は経理知識だけでなく、合格するまでのプロセスも併せてアピールできます。
具体的には
- 継続的に勉強できる能力
- 10~20%前後の相対試験に合格できる能力
- 合格するため勉強計画をたて遂行する能力
上記は主な項目ですが、これらの能力は経理で仕事をする上でも大切なことです。
例えば、経理は新しい会計基準が導入された場合には、その基準を解読して自社にどのような影響があるか調べなければいけません。つまり、新しい基準を理解するには勉強をする必要があるので、継続的に勉強したことがある方は重宝されます。
中途採用する場合には、非定型業務を担える人材を採用して将来の経理部門の幹部候補として育てたいと考えています。
自己PRや職務経歴書では科目合格の成果を軸として、アピールすると内定を獲得しやすいですよ。
アピールの方法に限らず職務経歴書の作成方法に不安があれば第三者からアドバイスを受けるのもおすすめです。
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③ 単体決算の求人を狙う
求人表に単体決算を任せると記載されている企業は税理士科目合格者にとって狙い目です。
狙い目な理由は下記の通りです。
- 税理士試験は会計・税務ともに単体決算の知識が身に付くように設計されている
- 会計事務所や税理士事務所経験者ならば一般企業の単体決算の経験者枠を狙える
- 単体決算の求人は他の候補者や経理経験者のレベルは低い(経験豊富な人材は連結などに応募する傾向が高い)
単体決算の求人であれば、上場企業でも十分に狙える可能性が高いです。
逆に言えば連結決算・財務・管理会計が担当業務となっている業務は科目合格者であっても通過がしにくいです。
科目合格者が通過しやすい求人は経理に強い転職エージェントに紹介してもらうのもおすすめのですよ。
【無料相談可能】経理の未経験者におすすめな転職エージェント
私が営業から経理に未経験で転職をしたときは、下記の3社を中心に転職活動を進めていました。
エージェント種類 | オススメなポイント | 体験談 |
リクルートエージェント | リクルートエージェントは求人数No.1 非公開求人の紹介、転職市場の動向、過去の事例などを考慮し、非公開求人も含めた多数の求人の中から最適な求人を紹介します。 | 【リクルートエージェントの特徴】体験談と評判からメリットとデメリットを解説します |
doda | dodaが取り扱っている求人のうち、80%以上がサイト上には公開されていない非公開求人です。 自分では見つけられなかった求人もエージェントサービスに登録することで見つけることができます。 | 【dodaの特徴】体験談と評判からメリットとデメリットを解説します |
マイナビジョブ20's | 人材サービスを幅広く扱うマイナビの中でも、20代を専門としているのは『マイナビジョブ20's』のみです。 マイナビの情報網を活かしつつも、20代という若年層に特化しているからこその強みがあります。 通常の転職サイトでは掲載されていないような"非公開求人"が80〜90%を占めています。 | 【マイナビエージェントの特徴】体験談と評判からメリットとデメリットを解説します ※マイナビエージェントの体験談を参照 |
④ 一般企業用の面接対策をする
科目合格者が落ちる可能性が1番高いのは一次面接です。
実際に科目合格者は私が採用担当をしていたときも書類選考は通過しますが、1次面接で落ちるケースが多かったです。
科目合格者はスキル面では問題ないと判断されますが、一般企業の経理に馴染めるかを面接で重点的に見られるます。
例えば、
- チームで仕事はできるのか
- 将来は英語力を身につける気持ちはあるのか
- 一般企業独特の社内調整業務に対応できるか
- 一般企業の経理の仕事内容は理解しているか
上記は私が面接官であったときに必ず確認していたポイントです。
一般企業の経理の面接で聞かれる内容はほとんど決まっているので、事前に準備して対策をしておきましょう。
経理の頻出質問集→【経理の面接の質問例10個】未経験者向けにキャリアプラン3つも紹介
【体験談】税理士試験の合格者が一般企業(プライム上場企業)の経理に転職をした結果
科目合格者として経理に入社すると、幹部候補生として会社の業務の根幹となる業務を優先的に任せてくれます。
例えば、私は単体決算業務・連結決算業務(IFRS)・国際税務など税理士試験で勉強した内容をフルで活かせる業務を担当させて貰えました。その結果、最年少で海外駐在に選出されて30代前半で年収は1000万円を超えています。
同じ年齢でも経理知識がないく転職をすると、債権管理や請求書発行など定型業務を長期間担当することになります。
IFRSや国際税務は税理士試験では学びません。しかし、税理士試験の科目合格で培った知識や会計基準や税法の読み方は、IFRSの基準書を読むときに役立ちます。また、IFRSといえども仕訳や財務諸表の基本的な原理は同じなので、基準書や監査法人の助けを借りれば十分に内容を理解できます。
なので、税理士試験で培った知識は、上場企業の経理でも十分に通用しますので心配しないでくださいね。
【企業の採用目線】税理士試験の科目合格の本当の価値
超大手企業でも有利になる、日商簿記1級を基準に科目合格の価値を考えてみます。
採用する側の目線では、下記の通りの評価です。
- 日商簿記1級=税理士試験の科目合格 簿記論 or 財務諸表論
- 日商簿記1級<税理士試験の科目合格 簿記論 and 財務諸表論
- 日商簿記1級<税理士試験の科目合格 消費税法 or 法人税法
日商簿記1級と税理士試験の科目合格の差は大きくありません。少なくもその差で決め手になることはほとんどありません。但し、税務業務の場合には法人税法、消費税法を取得している場合には別格として扱われるので非常に有利です。
日商簿記2級と、日商簿記1級・税理士試験の科目合格の評価差は大きいです。
具体的には簿記1級、税理士試験の科目合格保有者は書類選考の通過率が簿記2級の取得者と比較をして高くなりますよ。
【参考】一般企業の経理への転職で有利になる税理士試験の科目
税理士試験の科目合格の全てが有利となるわけではありません。
経理知識として有利になるのは、一般企業の経理と密接に関係がある科目のみです。
一般企業の経理で特に有利になる科目は、具体的には簿記論・財務諸表論・法人税法・消費税法です。
これらの科目は一般企業の経理部の実務でも頻繫に使うので、積極的にアピールしていきましょう。
所得税法や相続税法は一般企業の実務では使用しませんが、合格するまでのプロセスは評価されます。
なので、履歴書には記載することをおすすめします。
【お役立ち情報】会計事務所や税理士事務所の仕事の勉強ができるおすすめの本5選【実務に使えるし】
直ぐには一般企業の経理への転職は考えていないけど、将来に備えて会計や税務に役立つ本を知りたいと思っている方は多いのではないでしょうか。
実際に会計事務所に勤める税理士である友人と経理に勤務する私が読んで実務で参考にした本を紹介しますので良かったら参考にしてくださいね。
まずは箇条書きで紹介します。
- 会計事務所の仕事がわかる本
- 税理士事務所に入って3年以内に読む本
- 会計事務所職員が知っておきたい 会社の経理・労務ハンドブック
- 社長! こんな会計事務所を顧問にすれば あなたの会社絶対に潰れませんよ!
- 中小企業の税務の仕事―社長・経理担当者・会計事務所スタッフに読んでもらいたい
では、一つ一つ解説していきますね。
【初学者向け】会計事務所の仕事がわかる本
<内容>
会計事務所の業務を日々、月、年単位で仕事の流れを解説しています。本書を読めば会計事務所の仕事の流れが理解できます。
<実際に読んでみて>
会計事務所の仕事を流れに従って記載されているので、詳細な業務内容が分かりやすいです。会計事務所や税理士事務所の仕事内容の概要を知りたい方にはおすすめの本です。
【初学者向け】税理士事務所に入って3年以内に読む本
<内容>
会話形式で税理士事務所の仕事を専門用語を極力使わないで解説しています。本書を読めば税理士事務所の仕事の意味が理解できます。
<実際に読んでみて>
申告書など専門的なことも解説していますが、初学者が分かりやすい言葉を選んでいるので読みやすいです。専門書をいきなり読むのが難しいけど、税理士事務所の仕事内容を理解する必要がある方におすすめの本です。
【実務者向け】会計事務所職員が知っておきたい 会社の経理・労務ハンドブック
<内容>
中小企業の労務と税務について必須の知識に絞って解説しています。本書を読めば中小企業の労務と税務について最低限知っておくべきことは理解できます。
<実際に読んでみて>
中小企業の経理は経理だけを担当をすることが少なく、労務についても担当することが多いです。なので、顧問の会計事務所の担当者に労務の問い合わせをすることが多々ありまよ。税理士事務所や会計事務所で中小企業の担当を持つ方にはおすすめの本です。
【実務者向け】社長! こんな会計事務所を顧問にすれば あなたの会社絶対に潰れませんよ!
<内容>
中小企業の財務戦略を資金繰りの観点から解説している本です。本書を読めば中小企業での資金繰りの重要性と戦略を理解できます。
<実際に読んでみて>
資金繰りから中小企業をサポートする戦略が具体的に解説されていて、顧問先の倒産を防ぐ戦略が学べます。コンサル系統を強みとする会計事務所に勤めている方にはおすすめの本です。
資金繰りを学ぶのにおすすめ本→【資金繰りを学ぶのにおすすめな本5冊】解説が分かりやすい書籍を紹介
【実務者向け】中小企業の税務の仕事―社長・経理担当者・会計事務所スタッフに読んでもらいたい
<内容>
中小企業に必要な税務に絞って解説をしている本です。本書を読めば中小企業の基本的な税務知識は理解できます。
<実際に読んでみて>
税務は幅が広くて何から学べば良いか悩みますが、本書は中小企業に必須の税務について解説しているので、効率的に実務に必要な知識が学べます。まずは実務で役立つ税務を効率的に学びたい方におすすめの本です。
消費税を学ぶのにおすすめの本→【消費税法の実務の勉強におすすめな本5冊】解説が分かりやすい書籍を紹介
【参考】経理に向いているかを科学的に調べてみる
自分の強みや適職が気になったら、科学的に適職診断をしてみてはいかがでしょうか。
選択式の質問に答えるだけで、科学的な根拠に基づいて貴方の適職を診断してくれるプログラムがあります。
コンピテンシー診断は、ミイダスが提供する無料の自己分析プログラムです。
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具体例を見て頂いた方が分かりやすいかと思いますので、私の結果を貼り付けます。
適職診断で使うのは、【職務適性】です。
実際に職務適性を見ると、経理が9と出ています。私自身も経理にとても向いていると考えていますので、分析の精度の高さが伺えます。
※無料登録によりコンピテンシー診断が可能となります。
仕事の価値観診断の纏め→【仕事の価値観の無料診断】転職の成功には適性を知るのが大事な理由
税理士科目合格者が一般企業の経理へ転職するコツ4つ
税理士試験の科目合格は一般企業の経理にも非常に有利です。
また、転職で入社した場合には専門的な知識を有しているので幹部候補生として活躍が期待されます。
転職を考えている方は、一般企業の経理を選択肢と入れてみてはいかがでしょうか。