上場企業への入社は競争率が高いのが現状ですので、未経験で直ぐに上場企業の経理に転職するのは難しいです。
経理未経験で簿記の資格なしからでも、20代~30代前半なら戦略的に資格を取り・実務経験を積めば上場企業の経理に転職可能です。
貴方が一つ一つ戦略的に行動をすれば、未経験からのスタートでも他の経理経験者を差し置いて上場企業の経理に転職できます。
この記事では、経理未経験の方向けに、5年以内に上場企業の経理に転職する方法を紹介しています。各STEPごとに解説していますので、STEPに従って行動して頂ければ誰でも上場企業に転職できる仕組みとなっています。経理は努力が認められやすい職種なので、正しい努力をすれば上場企業にも転職できます。
では、纏めていきます。
【前提】上場企業の経理のレベルは高くない【一部の専門職のみレベルが高い】
まずは、上場企業の経理部の実情をお話します。
超大手企業(売上兆超えレベル)を除けば、プライム上場企業の経理部のメンバーレベル(管理職を除く)のイメージは下記の通りです。
本社の経理メンバーが20名規模と仮定しましょう。
- 英語が話せない、かつ作業的な仕事が中心:13名程度
- 決算の取り纏め可能 or 税務等専門知識持ち:4名程度
- 英語が話せるが、経理知識が弱い:2名程度
- 2+3のレベル:1名程度
決算の取り纏め可能 or 税務等専門知識を持っていて、コミュニケーションが取れる方が管理職に昇進していくイメージです。このレベルに追いつくには、経理部の全体の業務を把握する力が必要なので5~6年程度は経理経験が必要となります。
なので、未経験者や非上場企業からの転職者はまずは作業的な仕事を一つ一つ覚えて、決算の取り纏めを担当できることが目標となります。
作業的な仕事が中心のメンバーの実力は高くありません。日商簿記2級があってExcelが使えれば、1年あれば担当できるレベルの業務が多いです。
残念ながら、上場企業の経理でも簿記やExcelの学習意欲がない場合には、このレベルで永遠に成長が止まります。
なので、未経験者でもExcelと日商簿記2級があれば、業務の習熟スピードが早いです。担当できる業務量が増えて、直ぐにやる気がないメンバーを追い抜くことができます。
経理に必要なExcelが学べる本→【経理で使うExcelが学べる本5選】エクセルで業務効率化を狙える書籍を紹介
【宣伝】経理のキャリア相談を承ります
経理のキャリアは多種多様なプランがありどの道を目指すかで優先して経験・勉強すべきことは異なります。
例えば、
- 年齢
- 将来経理以外の職種につきたいか
- マネジメントをしたいか
- 制度会計、税務、管理会計、財務、原価計算のどれを武器とするか
- 未経験から経理になるには何をしたら良いか
貴方が置かれている状況をヒアリングして、貴方に最適なキャリアプランをアドバイスさせていただきます。また、上場企業レベルや仕事内容もご希望があればお話できますよ。
ココナラで体験談をもとにキャリア相談を承っていますので良かったらご利用ください。→経理のキャリアアップ 経理の転職相談を承ります
【おすすめ】上場企業の経理で働くメリット4つ
努力をするには、まずは上場企業の経理で働くメリットを知りたいですよね。
大きく分けて4つメリットがあります。
- 開示業務など上場企業特有の経理経験が積める
- 上場企業の経理はコンプライアンス意識が高いので残業が少なく働きやすい
- 上場企業の経理は給与が高い (上場企業の平均年収 約600万円)
- 上場企業の経理から他の経理や職種への転職は容易
では、一つ一つ解説していきますね。
①開示業務など上場企業特有の経理経験が積める
上場企業には開示業務など、経理の市場価値を高める経験ができる業務が沢山あります。
例えば、上場企業で単体決算や連結決算の経験を積めば、経理として職に困ることはありません。
なので、経理としてキャリアを築きたい人は上場企業の経理は1度は経験をしておくことをおすすめします。
経理の市場価値が高い業務→【経理で市場価値を高い人材は?】グローバル経理が解説【高年収を狙う】
②上場企業の経理はコンプライアンス意識が高いので残業が少なく働きやすい
上場企業は株主から厳しい監視があり社長に権限が集中がしにくい仕組みとなっています。
なので、コンプライアンス意識が高い企業が多く従業員の残業時間の管理も徹底されていることが多いです。
更に経理は顧客がいないので自分のペースで仕事をできるので、ワークライフバランスが取りやすいですよ。
経理のワークライフバランス→【経理は楽なの?】現役経理が特に楽な業界と仕事の特徴を語る
③上場企業の経理は年収が高い
経理は成果主義ではないので、年収は会社の平均年収に依存をします。
なので、高年収を得るには平均年収が高い企業に転職をするしか方法がありません。
上場企業の平均年収は600万円であり、福利厚生も整っているので贅沢をしなければ生活に困ることがない水準の給与は貰えます。
私は経理未経験で転職をしましたが、経理経験6年・30代前半で年収は1000万円程度なので上場企業でも高年収の企業を選べば600万円を超すことも可能ですよ。
④上場企業の経理から他の経理や職種への転職は可能性
上場企業の経理は経理のキャリアとしては最高峰の業務経験ができます。
なので、上場企業の経理を5年程度経験すれば、転職市場で引く手あまたの人材になります。
経理は数値を扱うのでスキルの汎用性がたかく、転職先は経理だけでなくコンサルタントや海外駐在など多種多様なキャリアが考えられます。
【結論】上場企業の経理に未経験者が転職する方法2つ
未経験者が上場企業に転職するには、大きく分けて2つの方法があります。
- 経理未経験→上場企業の経理
- 経理未経験→中小企業の経理→上場企業の経理
経理未経験から上場企業の経理に直に転職するのは、難易度が高いので転職先が見つからないリスクがあります。
上場企業に固執して闇雲に転職活動をしても、内定を取れる確率は低いです。転職エージェントから上場企業の経理の紹介がない場合、7社程度受けて内定が貰えなかった場合には、中小企業の経理で実務経験を積んでから上場企業に再度転職することをお勧めします。
経理は実務経験を高く評価するので、貴方が中小企業の経理を経験すれば経理としての市場価値が上がり上場企業の経理から内定を貰える可能性が高くなります。
中小企業の経理は少数なので、業務範囲が広く経理経験を早く詰めるメリットもありますよ。
中小企業の経理の業務が学べる本→【中小企業の経理実務の勉強におすすめな本5冊】分かりやすい書籍を紹介
【方法】経理未経験から上場企業の経理に転職するためにやるべき7つのこと
では、経理未経験から上場企業の経理への転職に成功するまでに具体的にはどのような行動をしたら良いか解説します。
全部で7ステップありますが、最短で3ステップで終了します。
- 上場企業の経理の求める人物像の詳細を知る
- 日商簿記2級の勉強を開始する
- 転職エージェントに相談&転職活動【最短】
- 中小企業の経理で実務経験を積む(1~3年程度)
- TOEIC800点を目指す(Want)
- 日商簿記1級を目指す(Want)
- 転職エージェントを利用して再度転職活動をする【最長】
ステップ3で上場企業に転職できなくても心配いりません。中小企業の経理で実務経験を積んで、TOEIC800点か日商簿記1級のどちらかでも達成出来れば、上場企業の経理への転職は最終的には成功します。
では、各ステップを一つ一つ解説していきますね。
【前提】ステップごとのタイムスケジュール目安
<ステップごとの纏め表>
項目 | 目標期間 | 達成年数 |
STEP1 転職サイトに登録だけする(目標の明確化) | 1日 | 1年目 |
STEP2 日商簿記2級の取得 | 半年 | 1年目 |
STEP3 転職エージェントに相談&転職活動 | 3ヶ月 | 1年目 |
STEP4 中小企業かベンチャー企業の実務経験を積む | 3年 | 2年目~4年目 |
STEP5 日商簿記1級の取得(可能ならば) | 半年~1年 | 2年目~4年目 |
STEP6 TOEIC800点の取得(可能ならば) | 半年~1年 | 2年目~4年目 |
STEP7 中小企業やベンチャー企業の経理から上場企業の経理に転職 | 半年~1年 | 5年目 |
では、各ステップごとに詳細の説明をしていきます。
ステップ1 転職サイトに登録だけする
まずは上場企業が求める人物像を明確にする必要があります。
企業が経理未経験者に求める要件を理解している方は、ステップ1は飛ばしてくださいね。
上場企業が若手(20代後半~30代前半)の経理を欲しがるときの応募要件(Must)と推奨要件(Want)をまずは把握しましょう。
おすすめの転職サイトは リクナビNEXTです。求人数が多いので、上場企業を始めとして多くの企業の求人を確認することができます。
種類 | オススメなポイント |
リクナビNEXT | 職務経歴書を登録すると非公開求人のオファーが来る。 自分の市場価値を把握できます。 |
ミイダス | 登録に職務経歴書、履歴書の作成、カウンセリング等一切不要。 登録はミイダスの質問に答えるだけです。 ミイダスが求人企業にあなたの価値(キャリア)をあなたにかわって継続的に売り込みます。 |
この段階では積極的に応募する必要はありません。あくまでも、上場企業の応募要件と推奨要件の調査が目的です。実際に自分自身の目で確かめると納得感がありますので、1度は転職サイトに登録することをおすすめします。
参考に上場企業の求める大まかな要件を纏めておきます。
- 経理経験3年(決算業務経験者)【Must】
- 日商簿記2級【Must】
- 日商簿記1級・米国公認会計士(USCPA)・税理士科目合格【Want】
- 英語力【Want】
年齢が上がる程、求めるレベルが高くなります。例えば、同じ企業でも30歳では単体決算業務経験のみで書類選考が通過しても、35歳では単体決算業務の取り纏めまでの経理経験が欲しいなど、求める経理経験の期待値が大きくなります。
転職サイトの良い所は、貴方のペースで様々な求人の応募要件を自由に確認できることです。
ステップ2 日商簿記2級の勉強を開始する
日商簿記2級は上場企業に転職するには、取得すべき資格となります。
日商簿記2級は実務においても役立つ資格なので、経理のキャリアパスを築くならば必ず取得する必要があります。また、転職においても、未経験での経理の転職で書類選考を通過するのに役立ちます。未経験で資格もないと、貴方より年齢の若い新人や候補者を育てたいと企業は思います。
特に上場企業の経理に転職する場合には、他の候補者も日商簿記2級を取得していることが多いです。
なので、日商簿記2級がないと不利になることが多いです。
日商簿記2級の勉強と並行して転職活動は、同時に変更して実施することをおすすめします。
景気の動向により求人の数が変わるので、チャンスを逃さないように転職活動をするのも大事です。
【参考】簿記2級の独学におすすめな参考書
簿記2級は通信講座に通った方が効率的なのは間違いありません。
通信講座を検討している方は、まずは大手予備校に資料請求をしてみてはいかがでしょうか。
大原公式資料請求サイト→高い合格実績で選ぶなら資格の大原 簿記1・2級講座
予備校にいきなり通うのではなく、試しにテキストで独学で勉強をしてみたいと方は多数の合格実績がある予備校の参考書を利用することをお勧めします。
簿記2級の参考書は多数発行されていますが、中でも経理メンバーから高評価だったテキストを紹介しておきますね。
<おすすめの参考書>
ステップ3 経理に強い転職エージェントに相談をしてみる
まずは、転職エージェントに現状の貴方のキャリで上場企業の経理で紹介できる案件があるか聞いてみましょう。
転職エージェントは多くの候補者と接していますので、貴方が上場企業の経理に受かる見込みがあるかは分かります。
注意点としては、客観性を保つために複数の転職エージェントに相談することをお勧めします。
ここで、上場企業の紹介が難しいと言われたら、中小企業の経理への転職に目標を切り替えましょう。
経理に強い転職エージェント→【経理に強い転職エージェントのおすすめ】未経験者と経験者別に紹介
【おすすめ】未経験者でも狙い目の上場企業
上場企業のなかでも、未経験者が採用されやすい企業が3つあります。
- 新興IT企業(上場して5年程度)
- 上場企業の子会社(親子上場している企業の子会社)
- 自動車部品メーカー(管理部門の採用に近年力を入れ始めポテンシャル採用に積極的)
特におすすめなのが、自動車部品メーカーです。
自動車部品メーカーは福利厚生もしっかりとしており働きやすく、海外子会社もあるので将来海外駐在も狙えます。
転職エージェントから自動車部品メーカーの紹介があったら積極的に応募してみることをお勧めします。
ステップ4 中小企業の経理で実務経験を積む
中小企業に入社したら上場企業の経理に転職するために、市場価値が高い経理の業務経験を積みましょう。
具体的には、単体決算業務の経験です。単体決算業務の経験があれば、次の経理の転職で貴方の市場価値が高くなります。なので、経理経験者として上場企業の経理への転職が楽になります。
中小企業の経理経験は1~3年程度に留めてなるべく早く転職活動をしましょう。
経理キャリアの第一関門は決算書が読めるかなので、まずは決算書を読めるようになりましょう。
決算書の読み方が分かる本→【決算書の読み方】の勉強におすすめの本5冊【分かりやすい書籍を経理が厳選】
ステップ5 TOEIC600~800点の取得が有利(海外駐在も目指せます)
グローバル企業で将来駐在を目指す場合には、英語力のアピールは必須のスキルとなります。
特にメーカーや商社など海外子会社を多数保有する会社は、海外子会社に駐在員を派遣するために英語力と経理実務ができる人材を求めています。
800点以上あると、大手企業でも英語力不足で書類選考を落とされる可能性はほとんどありません。
なので、日商簿記2級を取得して時間に余裕があればTOEICの勉強を開始しましょう。
英語の学習はまずは、単語を抑えるのが基本なので単語から学習をしてみてはいかがでしょうか。
<おすすめ単語帳>
ステップ6 上場企業に転職には日商簿記1級の取得が有利(CFOも目指せます)
上場企業の中でも、大手企業に転職することを目指すならば、日商簿1級を目指すことをおすすめします。
日商簿記2級まで取得している方は経理でも多くいます。しかし、日商簿記1級の取得者は希少人材です。取得していれば、他の候補者と差別化できますので、書類選考の通過率が格段に上がります。
20代~30代前半で決算業務を経験してかつ、日商簿記1級を取得していれば、超大手企業以外は書類選考は通過します。
書類選考を通過するということは、その年代での経理としてのスキルは十分にあるという証明になります。
日商簿記1級は知識面でも連結会計や開示業務に役立ちますので、上場企業で連結や開示業務を経験したい方には相性抜群の資格です。
勉強期間は約1000H程必要なので長期間に及びますが、取得できれば効果が大きな資格なので是非とも目指して頂きたい資格です。
CFOを目指す人におすすめな本→【CFOを目指す人におすすめな本5選】経理のキャリアが学べる書籍を紹介
ステップ7 中小企業やベンチャー企業の経理から上場企業の経理に転職
中小企業やベンチャー企業の経理で3年程度実務経験を積んだら、上場企業への転職活動を開始しましょう。
経理の転職には、経理の実務経験が重視されます。資格も大事ですが経理は経験者採用が主流なので、実務経験をしっかりと積むことがより一層大事となります。
若手経理の実務経験の中でも1番大事なのは、決算業務の経験です。
【参考】自分の適職を科学的に調べてみる
自分の強みや適職が気になったら、科学的に適職診断をしてみてはいかがでしょうか。
選択式の質問に答えるだけで、科学的な根拠に基づいて貴方の適職を診断してくれるプログラムがあります。
コンピテンシー診断は、ミイダスが提供する無料の自己分析プログラムです。
貴方の選択した回答に基づいて、適職診断を自動で行ってくれる仕組みです。所要時間は約30分程度なので気軽に行えます。結果を見て頂ければ分かりますが、詳細に性格や職務適性を分析してくれます。無料なので気軽に試せるのでおすすめです。
具体例を見て頂いた方が分かりやすいかと思いますので、私の結果を貼り付けます。
適職診断で使うのは、【職務適性】です。
実際に職務適性を見ると、経理が9と出ています。私自身も経理にとても向いていると考えていますので、分析の精度の高さが伺えます。
※無料登録によりコンピテンシー診断が可能となります。
仕事の価値観診断の纏め→【仕事の価値観の無料診断】転職の成功には適性を知るのが大事な理由
経理未経験から上場企業に転職する方法の纏め
経理は未経験からのスタートであっても、手順を踏んでステップアップしていけば、上場企業にも確実に入社できます。
また、上場企業に入社後もしっかりとキャリアを積めば、年収1000万を突破することもできます。
経理はキャリアアップに努力が必要な職種ではありますが、見返りも大きいので、将来の投資と思って頑張ってみませんか。
会社に漠然とした不安を抱えている方に読んで貰いたい本があります。どの会社でも通用するスキルを身に付けるための手助けとなる本なので、読むことでキャリアについて真剣に考えるきっかけになります。気になった方は Kindle Unlimited で無料で読んでみて下さいね。
本が無料で読めるAmazonのサービス→【30日間は本を無料で読める】Amazonの電子書籍サービス3つを比較
転職に関するオススメな本→【20代の転職におすすめな本5選】30代の初めての転職にも役立つ書籍を紹介