経理で働いていると、新人さんや派遣さん、経理異動希望の方から、経理の勉強方法について質問を受けることが多いです。
経理を1から学びたいけど、経理関係の本や資格が沢山あるので何から勉強をすればよいか分からなくなりますよね。
なので、経理の未経験者が決算を担当ができるようになるために、必要な知識を効率的に勉強できる方法を紹介します。
この記事では、経理知識0から決算の実務を担当するまでに必要な知識を得るために学ぶべき内容を紹介します。実際に未経験から経理をスタートして上場企業の経理の連結決算の実務までを担当した体験に基づいて解説しますね。
では、纏めていきますね。
目次
【前提】経理の勉強は何からすべきか?→経理の実務はExcelから勉強すべき
経理の実務を行う上で最優先で学ぶことは、Excelの基本的な関数です。
簿記の知識も必要ですが、簿記の知識はExcelの技能があってこそ活かせるものですよ。
何故なら経理の実務は大量のデータを、素早く・正確に処理することを常に求められます。
なので、経理業務を行うのであれば最優先でExcelの技能は必ず身につけることをおすすめします。
経理のExcelを学ぶのにおすすめな本→【経理で使うExcelの勉強におすすめな本】現役経理が解説
【結論】経理の実務の勉強は学ぶ順番が大事

経理の実務をマスターする際に1番重要なのは学ぶ順番です。
会計も英語と同じでピラミッド型で知識を積み重ねていくので、基礎的な知識をまずはしっかりと学ぶ必要がありますよ。
会計の基礎は単体決算なので、経理としてキャリアアップを考える場合にはまずは単体決算をマスターしましょう。単体決算業務をマスターすれば、貴方の市場価値も上がり転職する場合には高年収を確保しやすくなりますよ。
単体決算の学習を飛ばして、単体決算の知識があることを前提とする連結決算や管理会計、税務から学ぶと必ず失敗します。
まずは、単体決算をマスターするまでの学習順序を、箇条書きで纏めていきます
<経理の実務を学ぶ順番>
- 経理の面白さを知る
- 財務諸表を読めるようする
- 基本的な仕訳と総勘定元帳を学ぶ
- 単体決算業務の処理を学ぶ
では、一つ一つ解説をしていきますね。
①経理の面白さを知る
既に経理が面白いと感じている方は、①は読み飛ばして頂いて問題ありません。
もし、経理が面白くない、苦手、難しいと感じている場合には、経理の面白さを知ることを優先することをおすすめします。
経理実務やキャリアアップのために経理を学ぶのも大切ですが、継続して勉強をするには経理に興味を持つことが1番大事です。
会計は最初から堅苦しい文章だけで学ぶと拒絶反応が生じますので、まずは小説や漫画で経理の面白さを発見してみてはいかがでしょうか。
経理に関する面白い小説→【経理に読んで欲しいおすすめ小説】経理の仕事が面白くなりますよ
②財務諸表を読めるようにする
経理初学者がいきなり資格の勉強を開始することはおすすめしません。
まずは経理で1番大事な財務諸表が読める知識を身につけることに焦点を絞り学習をすることをおすすめします。財務諸表が経理実務の全ての基本なので、基礎をしっかりと固めましょう。
学習には財務諸表を簡単に解説している本を利用します。
財務諸表が分かる本→【決算書の読み方】が学べるおすすめの本5冊【分かりやすい書籍を経理が激選】
ここでは、財務諸表(PL.BS)の繋がりと役割をイメージできる程度で十分です。まずは、会計の全体像をイメージできるように意識して学びましょう。
細かい処理は気にせず、先に進みましょう。細かい会計処理は、後ほどしっかりと学習します。また会計処理も学ぶ順番がありますので、現段階で細かい処理を理解するのは、非効率となってしまいます。
財務諸表が読めるようになれば、経理の専門用語も自然と身につくので一石二鳥です。
③基本的な仕訳と総勘定元帳を学ぶ
財務諸表の概念が分かったら、次は実際に財務諸表を作る基となる基本的な仕訳が起票できるようになることが目標です。
また、仕訳を起票→総勘定元帳に記載される流れを学ぶことも大切です。
では、どのように学ぶかというと、日商簿記3級の合格を目標として勉強するのが効率的です。
日商簿記3級は基本的な仕訳問題を中心に出題されます。日商簿記3級レベルの仕訳をマスターすれば、基本的な仕訳は理解できる仕組みになっています。 また、日商簿記3級は、仕訳起票→総勘定元帳→精算表の流れが理解できる設計になっています。 経理実務の基本を学ぶには、最高の教材です。
経理の資格は色々と種類がありますが、日商簿記は経理実務に沿って試験が出題されるので、勉強が無駄になりません。
基本的な仕訳が実際に起票できるようになれば、決算補助など単体決算に関連する仕事に携わることができます。会計システムに仕訳を起票できることが、経理キャリアの第一歩です。基本だからこそ、仕訳の意味を理解しながら業務を行う必要があります。
仕訳の意味を理解していないと、イレギュラーの仕訳に絶対に対応できません。なので、いつまでも1人立ちできずに、決算補助で経理キャリアが止まってしまいます。
<簿記3級のおすすめテキスト>
④ 単体決算業務を学ぶ
基本的な仕訳が実際に起票できるようになったら、次は単体の決算業務ができるまでが目標となります。
では、どのように学ぶかというと、日商簿記2級の合格を目標として勉強します。
日商簿記2級は有形固定資産や税効果会計など実務で重要とされる会計処理を中心に学びます。また、決算の一連の会計処理も試験範囲となっていますので、単体決算業務で必要な基本知識が詰まっています。更には、連結決算の基礎部分とメーカーでは必須な工業簿記も試験範囲となっています。
日商簿記2級レベルの知識を網羅すれば、上場企業であっても単体決算業務は問題なく対応できる経理知識が身につきます。
単体決算業務を担当するには、イレギュラーな会計処理にも対応しなくてはなりません。指示を待つのではなく、自分で調べたり監査法人に問い合わせたりと、定型業務以外の仕事が増えます。日商簿記2級の知識があれば、イレギュラーな会計処理に対して選択肢が思い浮かびます。その選択肢が正しいかを調べるので、自力で業務ができます。しかし、知識がないと選択肢が思い浮かばないので、どのように調べるかすら見当がつかない状況となります。
連結決算は日商簿記2級の試験範囲にはありますが、日商簿記2級レベルの連結決算の知識では物足りないです。2級の連結は基本的な事項なので、持分処理など実務で頻繫に使用する内容が含まれていないです。連結決算を担当する(経理キャリアを将来築く)なら、日商簿記1級まで目指すことをオススメします。
【参考】簿記2級の独学におすすめな参考書
簿記2級は通信講座に通った方が効率的なのは間違いありません。
通信講座を検討している方は、まずは大手予備校に資料請求をしてみてはいかがでしょうか。
大原公式資料請求サイト→高い合格実績で選ぶなら資格の大原 簿記1・2級講座
予備校にいきなり通うのではなく、試しにテキストで独学で勉強をしてみたいと方は多数の合格実績がある予備校の参考書を利用することをお勧めします。
簿記2級の参考書は多数発行されていますが、中でも経理メンバーから高評価だったテキストを紹介しておきますね。
<おすすめの参考書>
【おすすめ】単体決算の経理実務を勉強するなら読んで欲しい本
私が読んだ本の中で経理実務に本当に役立った本を紹介しますね。
簿記の知識は経理実務に役立つのは間違いありませんが、経理実務の全体像など簿記以外の経理の実務は本で知識を補完するのがおすすめです。
経理になったら読んでおきたい本→【経理の初心者におすすめの本5選】始めての方が勉強になる書籍を現役経理が紹介
経理の仕事の全体像が学べる本→【中小企業の経理実務の勉強におすすめな本5冊】分かりやすい書籍を紹介
【次の目標】単体決算業務をマスターした次に勉強すべきこと
単体決算業務をマスターをした後は、それぞれのキャリアに応じた勉強をしていきます。
例えば、
- 連結決算業務→日商簿記1級
- グローバル経理→英語&IFRS
- 税務→法人税と消費税
経理でも専門性が分かれるので、自分の担当業務やキャリプランに応じて進路を決めるのがおすすめですよ。
自分が何の業務に興味があるか分からなかったら、試しに本を読んでみてイメージを掴むのもおすすめです。
連結決算が学べる本→【連結決算の実務の勉強におすすめな本5冊】連結会計の解説がわかりやすい書籍を紹介
IFRSが学べる本→【連結決算の実務の勉強におすすめな本5冊】連結会計の解説がわかりやすい書籍を紹介
税務が学べる本→【税務でおすすめの本5選】初学者向けの分かりやすい入門書籍を紹介
【重要】経理の年収を上げるには単体決算の実務経験が需要
経理は実務経験が大事なので勉強だけでは経理業務をマスターすることは難しいです。
経理実務の勉強で一番大事なのは、決算業務の担当にできる限りなることですよ。
決算業務を実際に経験をして、監査対応やシステムを自分で操作することで貴方の市場価値が徐々に上がります。
経理は市場価値が上がれば好きな会社に転職をして、年収を上げることができるので市場価値がとても大事です。
【無料相談可能】決算業務が担当できないなら転職も検討
決算業務を担当できる見込みがない場合には、経理の市場価値が上がらないので転職を検討することをおすすめします。
管理部門でのキャリアアップや高年収を狙いたい方は、特化型転職エージェントの利用をおすすめします。
経理に強い転職エージェント→【経理に強い転職エージェントのおすすめ】未経験者と経験者別に紹介
【科学的に診断】経理に向いているか客観的に判断してみる
経理に向いているか気になったら、科学的に適職診断をしてみてはいかがでしょうか。
選択式の質問に答えるだけで、科学的な根拠に基づいて適職を診断してくれるプログラムがあります。
コンピテンシー診断は、ミイダスが提供する無料の自己分析プログラムです。
貴方の選択した回答に基づいて、適職診断を自動で行ってくれる仕組みです。所要時間は約30分程度なので気軽に行えます。結果を見て頂ければ分かりますが、詳細に性格や職務適性を分析してくれます。無料なので気軽に試せるのでおすすめです。
具体例を見て頂いた方が分かりやすいかと思いますので、私の結果を貼り付けます。

適職診断で使うのは、【職務適性】です。
実際に職務適性を見ると、経理が9と出ています。私自身も経理にとても向いていると考えていますので、分析の精度の高さが伺えます。
※無料登録によりコンピテンシー診断が可能となります。
適職診断については下記の記事でも纏めていますので良かったら見てくださいね。
【仕事の価値観の無料診断】転職の成功には適性を知るのが大事な理由
経理実務の勉強方法の纏め
経理は業務になれるまでは大変と感じることが多いとは思います。
しかし、勉強をして経理知識を身につければワークライフバランスも取れて働きやすいですよ。
なので、最初の半年程度は勉強を頑張ってみませんか。
市場価値の上げ方に着目して解説しています。転職だけを正解とせずに、現職に留まりながら市場価値を上げる方法も述べられており、選択肢が多くて参考になります。転職を検討している方は是非読んでみてください。 気になった方は Kindle Unlimited で無料で読んでみて下さいね。
本が無料で読めるAmazonのサービスは下記の記事で纏めていますので良かったら見て下さいね。
【30日間は本を無料で読める】Amazonの電子書籍サービス3つを比較
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