固定資産は会計と税務において多岐に渡る論点があります。
償却計算、減損、売却・除却に始まり、税務・税金は法人税、固定資産税、償却資産税などが関係してきます。
固定資産の処理をするときは、会計と税務においてどのような影響を与えるか勉強することをお勧めします。
この記事では、固定資産の会計と税務を学ぶためにおすすめな本を紹介します。実際に私が経理の実務で参照していたものなので、固定資産の会計と税務を学ぶのに役立ちますよ。
では、纏めていきます。
【前提】固定資産は会計と税務の違いを理解するのが大事
固定資産を理解する上で大事なのは、固定資産に係る会計処理と法人税の税金処理の相違点を認識することが大事です。
特に重要なのが、固定資産に係る処理をする上で、会計処理では損失として認識して処理をしても、法人税では損失(損金)とされない差異を把握することです。
固定資産の会計処理と税務の違いは、税務調査でも必ず見られる項目なので、正しく処理ができるようにしておきましょう。
<代表的な会計と税務の差異>
- 減価償却費
- 減損損失
- 資産除去債務
※厳密に解説すると膨大な記述量となるので、多くの企業で扱う代表的なものを記載しています。あくまでもイメージを掴むためのものとしてみてくださいね。
固定資産の会計と税務のズレは税効果会計の理解があると効率的に理解できますよ。
税効果会計を学ぶのにおすすめな本→【税効果会計を学ぶのにおすすめな本5冊】解説が分かりやすい書籍を紹介
【注意点】固定資産の減損は難しいので専門書がおすすめ
固定資産の減損会計は、会計実務でTOPクラスに難しいので、減損会計の専門書で学ぶことをお勧めします。
具体的には、グルーピング→兆候→測定→認識のステップごとに理解する必要があるので学習範囲が広いです。
なので、減損会計を学ぶときは、減損会計に集中して学習することをおすすめします。
後ほど、参考書籍を紹介しますので良かったら読んでみてくださいね。
【おすすめ】固定資産の会計と税務の解説が分かりやすい書籍5選
では、おすすめ書籍を纏めていきます。
まずは、箇条書きで紹介します。
- ケースでわかる 固定資産・リースの会計と税務
- 実務家のための減価償却資産等の留意点~取得、資本的支出・修繕費、除却
- 「固定資産の税務・会計」完全解説(第7版)
- 2 Q&A固定資産の会計実務 (【現場の疑問に答える会計シリーズ】)
- IFRS「金融商品の分類・測定」プラクティス・ガイド
では、一つ一つ解説していきますね。
【初学者向け】ケースでわかる 固定資産・リースの会計と税務
<内容>
固定資産関係で想定される基本的な50ケースを元に会計・税務を解説しています。本書を読めば固定資産の基本的な取引事例の処理はマスターできますよ。
<実際に読んでみて>
固定資産の購入や売却など固定資産関係で頻出する処理を一つ一つ丁寧に仕訳ベースで解説しています。固定資産の基本的な処理を学びたい方にはおすすめな本です。
【実務者向け】実務家のための減価償却資産等の留意点~取得、資本的支出・修繕費、除却
<内容>
国税庁OBが記載した本で、税務調査で指摘されやすい項目を重点的に解説しています。基本的な固定資産の税務処理は本書を読めば理解できます。
<実際に読んでみて>
固定資産の税務調査で職員が見るポイントを踏まえて記載されているので、税務処理で気を付けるべきポイントが明確に理解できます。中小企業の経理の実務者におすすめな本です。
【実務者向け】「固定資産の税務・会計」完全解説(第7版)
<内容>
固定資産関係の実務に必要な知識を網羅して解説しています。本書を読めば固定資産関係の実務の大部分はマスターできます。
<実際に読んでみて>
実務で固定資産関係の処理で困ったら、本書を読めば解決します。固定資産関係の会計、税務の辞書の役割を果たしてくれるので、経理の実務担当者におすすめな本です。
【IFRS:実務者向け】2 Q&A固定資産の会計実務 (【現場の疑問に答える会計シリーズ】)
<内容>
EY新日本有限責任監査法人が実務者向けに会計処理を中心に解説しています。本書を読めば固定資産関係の細分の論点まで理解できますよ。
<実際に読んでみて>
不動産の流動化など細かい会計処理の論点まで掲載されているので上場企業の監査法人でも十分に役立ちますよ。監査対応を任せられている方にはおすすめな本です。
【IFRS:実務者向け】IFRS「固定資産」プラクティス・ガイド
<内容>
PwCあらた有限監査法人が纏めたIFRSの固定資産関連の本です。固定資産の減損についても解説しているので、本書を読めばIFRSの減損損失だけでなく、固定資産の全般が理解できます。
<実際に読んでみて>
単純に規定を解説するだけでなく、実務に沿って解説をしています。なので、日系企業でIFRSを採用している企業の現状に即した内容になっています。IFRSで減損損失を理解するには、固定資産関係の知識も併せて勉強すると効率的に学べます。
【参考】減損会計の解説が分かりやすい書籍5選
では、減損会計のおすすめ書籍を纏めていきます。
まずは、箇条書きで紹介します。
- 【図解でざっくり会計シリーズ】4 減損会計のしくみ
- すらすら減損会計
- こんなときどうする? 減損会計の実務詳解Q&A
- 減損会計実務のすべて―図解と実例で会計・税務のポイントをつかむ
- IFRS「固定資産」プラクティス・ガイド
では、一つ一つ解説していきますね。
【図解:初学者向け】「図解でざっくり会計シリーズ」4 減損会計のしくみ
<内容>
EY新日本監査法人の図解シリーズの減損会計版です。図解で初心者にも分かりやすく説明しているので視覚から減損会計をイメージできます。
<実際に読んでみて>
減損会計は複数のステップで判断項目があるので、判定フローを理解することが最重要です。細かい論点よりも、減損会計の処理の流れを図解でイメージをしたい方にはおすすめの本です。
【初学者向け】すらすら減損会計
<内容>
減損会計の計算だけでなく、計算の目的も併せて解説しています。本書を読めば減損会計の本質を理解できますよ。
<実際に読んでみて>
減損会計は計算だけでなく、何故減損をするのかを理解することが大事です。経営層や監査法人に減損を説明するときに、目的を理解していると事象を上手く説明できますよ。監査対応を担当している方にもおすすめな本です。
【実務者向け】こんなときどうする? 減損会計の実務詳解Q&A
<内容>
EY新日本監査法人が監査対応の経験を基に減損会計で論点となる事項を網羅しています。本書を読めば減損会計の実務は理解できます。
<実際に読んでみて>
減損を実務で処理すると様々な問題に直面します。経理の減損で困ったら、本書を読めばヒントが書いてありますよ。経理の実務担当者は手元に1冊置いておくと安心できる本です。
【図解:実務者向け】減損会計実務のすべて―図解と実例で会計・税務のポイントをつかむ
<内容>
減損会計を会計・税務面の両方から要点を絞って解説しています。本書を読めば減損会計の会計と税務の重要なポイントに要点を絞って学習できますよ。
<実際に読んでみて>
減損損失は税務上は損金として認められないので、法人税で調整が必要となります。減損損失を税務面からも解説しているので、税務を兼務している経理の担当者にはおすすめです。
【IFRS:実務者向け】IFRS「固定資産」プラクティス・ガイド
<内容>
PwCあらた有限監査法人が纏めたIFRSの固定資産関連の本です。固定資産の減損についても解説しているので、本書を読めばIFRSの減損損失だけでなく、固定資産の全般が理解できます。
<実際に読んでみて>
単純に規定を解説するだけでなく、実務に沿って解説をしています。なので、日系企業でIFRSを採用している企業の現状に即した内容になっています。IFRSで減損損失を理解するには、固定資産関係の知識も併せて勉強すると効率的に学べます。
IFRSのおすすめ本→【IFRSを学ぶのにおすすめな本5冊】解説が分かりやすい書籍を紹介
【固定資産の税金関連】固定資産税(償却資産税)の基本は理解したい
有形固定資産は、保有しているだけで何らかの税金がかかります。
有形固定資産に係る代表的な税金は固定資産税(償却資産税)であり、1月1日に保有している固定資産に対して課されます。
固定資産税は地方公共団体が計算して納税額を算出しますが、計算間違えによる課税の誤りが発覚しております。事例→西日本新聞
なので、個人、法人の両方で課税の誤りが生じる可能性があるので、固定資産税について正しい知識を持つのは大切ですよ。
Q&A固定資産税は見直せる―適正納税の方法と実践
固定資産の会計と税務を学ぶのにおすすめな本の纏め
固定資産は会計を理解するだけでなく、税務も併せて理解する必要があるので苦手意識を持つ方が多いです。
企業活動において固定資産会計と無縁な会社はないので、正しく理解できれば貴方の武器となりますよ。
固定資産は経理実務で早い段階で任されることも多いので、作業だけでなく本質を理解してスタートダッシュを決めましょう。
一番のおすすめはケースでわかる 固定資産・リースの会計と税務です。本書は固定資産の基本的な取引が網羅されているので、初学者はまずは本書を読んでみることをお勧めします。