税務調査は、税金を納付していれば、法人、個人事業主、相続人の全てが対象になる可能性があります。
税務調査では、関係者に対して職員から様々な説明を求められますが、税務調査を円滑に終わらせるためには、職員の質問の意図を理解して回答する必要があります。
顧問税理士に任せるだけでなく、経営者や経理も税務調査の流れや基本事項は理解しておくことをお勧めします。
この記事では、税務調査の対応について知りたい方に向けて、おすすめの本を紹介しています。実際に中小企業と上場企業の経理で税務調査の対応をした時に参考にした本なので、実務に役立ちますよ。
では、纏めていきます。
【前提】法人の税務調査は法人税と消費税が争点となる
法人が税務調査の対象となる場合には、法人税と消費税の申告処理が正しく行われているかが主な争点となります。
法人税と消費税を正しく理解して申告の段階でミスをなくせば、税務調査の指摘は0となり、追加で納付する税金は無くなります。
しかし、税務調査で指摘を受けてから税金を納付すると、延滞金など不要な税金を余分に支払うことになります。
なので、税務調査で余分な税金を払いたくない場合には、法人税と消費税の仕組みを簡単に理解しておくことをおすすめします。
下記の4冊を読めば、基本的な法人税と消費税の知識は身につきます。
おすすめの法人税の本
おすすめの消費税の本
消費税法の本のおすすめ纏め→【消費税法の実務を学ぶのにおすすめな本5冊】解説が分かりやすい書籍を紹介【2022年版】
【参考】給与関係の担当者は源泉所得税の知識も必要
法人税と消費税以外では、源泉所得税の調査が併せて行われます。
代表的な調査対象は
- 役員報酬関連の処理
- 非居住者関連の処理
- 経費の中で給与所得になるものはないか
源泉所得税を負担するのは基本的には従業員(個人)などですが、納税義務者は企業になるので企業に調査が入ります。
源泉所得税は正確に処理を理解していないと間違えやすいので、税務調査が入る前に1度処理を再確認することをおすすめします。
<源泉所得税のおすすめの本>
【おすすめ】税務調査の対策の解説が分かりやすい書籍5選
では、おすすめ書籍を纏めていきます。
まずは、箇条書きで紹介します。
- オーナー社長のための税務調査完全対応マニュアル
- 調査官の「質問」の意図を読む 税務調査リハーサル完全ガイド(第2版)
- 元税務調査官が明かす 深度ある税務調査の手法
- 税務調査官の着眼力
- 税務調査対応の「事実認定」入門
では、一つ一つ解説していきますね。
【図解:初心者向け】オーナー社長のための税務調査完全対応マニュアル
<内容>
中小企業向けに、税務調査の事前準備から当日の対応までの流れを税務初学者向けに解説しています。本書を読めば税務調査の流れは理解できますよ。
<実際に読んでみて>
税務調査の基本的な事項を図解と専門用語を使わずに解説しているので税務調査のイメージがつきやすいです。税務調査が初めてで何から手をつけるか全く分からない方にはおすすめです。
【初学者向け】調査官の「質問」の意図を読む 税務調査リハーサル完全ガイド(第2版)
<内容>
税務調査で指摘を受ける項目を科目ごとに細分化して解説しています。本書を読めば税務調査で気を付ける勘定科目が明確になります。
<実際に読んでみて>
P/L・B/Sの科目ごとに税務調査が目を付ける事項を纏めているだけでなく、会社がすべき対策も記載されているのが素晴らしいです。税務調査の事前準備をする方にはおすすめの本です。
決算書が理解できるようになる本→【決算書の読み方】が学べるおすすめの本5冊【分かりやすい書籍を経理が激選】
【実務者向け】元税務調査官が明かす 深度ある税務調査の手法
<内容>
豊富な税務調査の経験を持つ元税務職員が、実際の実務経験に基づく調査方法を公開しています。本書を読めば税務調査の国税側の視点を理解できますよ。
<実際に読んでみて>
税務職員向けに税務調査の選定から終了までの流れが記載されていますが、税務調査を受ける側が読んでも役立ちますよ。税務調査側の手続きを知りたい方にはおすすめの本です。
【実務者向け】税務調査官の着眼力
<内容>
税務調査での調査官への回答のコツを解説しています。本書を読めば税務調査は怖くないです。
<実際に読んでみて>
税務調査における調査官の質問の裏の意図と上手な回答方法を解説しています。実際に調査官に対応する方にはおすすめの本です。
【実務者向け】税務調査対応の「事実認定」入門
<内容>
税務調査の事実認定のプロセスがどのように行われるか解説しています。本書を読めば調査側の事実認定の手法を理解できますよ。
<実際に読んでみて>
事実認定とは【証拠】に基づき【事実】を認定することを言います。税務調査は事実認定に基づき、納税が漏れていることを指摘することが多いです。税務調査で実際に職員と交渉する方にはおすすめの本です。
【参考】合法的な節税は税務調査でも問題にならない

当然ですが、税法に従って節税対策をしている限り、税務調査で指摘を受けることはありませんので安心してください。
しかし、所得を隠したり脱法的に税金を逃れている場合には、節税でなく脱税となり税務調査で指摘を受けます。
なので、節税対策を実施するときは、信頼できる税理士のアドバイスや本を参考に行うことをお勧めします。
節税対策におすすめな本→【節税対策を学ぶのにおすすめな本】法人と個人別に税金対策の書籍を紹介
税務調査対策におすすめな本の纏め
税務調査はイレギュラーな業務なので、マニュアルがない企業がほとんどです。
なので、税務調査の流れや本質は自分で本を読んで調べると本番で慌てないで済みますよ。
税務調査を円滑に終わらせるために、税務調査に関する予備知識を事前に身につけてはいかがでしょうか。
一番のおすすめは調査官の「質問」の意図を読む 税務調査リハーサル完全ガイド(第2版)です。本書は税務調査の基本的な事項から、調査官の意図も解説しているので、対策の基本書としておすすめできる本です。