海外駐在に行きたいなら経理を目指せと言われるほど、経理は管理部門の中で海外駐在の可能性が高い部門です。
海外子会社の経営を把握し、不正防止の観点から海外子会社の管理部門のトップには日本人を送り込むことが多いためです。
なので、数値に強い経理は管理部門のトップとして海外駐在に選出せれやすい特徴があります。
この記事は、海外駐在に行きたいと思っている経理の方に、駐在に選ばれる方法と、駐在に行った場合のメリットを紹介します。海外駐在はリスクが少なく、30代でも簡単に年収1000万が狙える超オススメな出世ルートです。海外駐在の経験者は転職でも評価が高いので、海外駐在に興味がある方はみて下さいね。
では、纏めていきますね。
【前提】経理が海外駐在で求められる役割
まずは、海外子会社に経理を派遣するとき、企業はどのようなことを期待しているか考えてみましょう。
期待することが分かれば、求める人材も分かります。
海外子会社に従業員を駐在させるのに、企業は約2000万円程度の費用(駐在員の年収+車両代+家賃等)が掛かります。なので、赴任者に対する期待値も非常に大きくなります。
では、管理部門の具体的な業務を紹介しますね。
- マネジメント経験を積んで欲しい(30代前半までに出す場合には、将来管理職となって欲しいと思っています。なので、作業的な業務は求められていません)
- 経理以外の業務も管轄して欲しい(管理部門全体を見る立場でいくので、総務や人事など経験がない部門も管轄できる適応力は必要です)
- 海外子会社の業績をタイムリーに伝えて欲しい(連結決算で必要な情報から、業績分析資料など本社に提出が必要な書類の取り纏めが必要です)
- 不正の防止(海外は日本より不正が起きやすいです。経費の不正流用などが起きていないか、確認を実施する必要があります)
- 新会計基準など複雑な業務の現地人への落とし込み(本社からのリモートではフォローが難しい案件は、駐在員が本社からの指示を確実に実行させる必要があります)
- 現地社長の参謀役(管理部門は数値を扱うので、現地社長から様々な資料の作成を依頼されます)
- 現地人の採用活動(現地で優秀な課長クラスを採用することは、部門を上手く回す為には必須です。現地人の課長クラスが現地人のメンバーを上手くマネジメントしてくれると楽です)
海外子会社では実務は全く求められていません。決算業務など実務は現地人中心に行います。あくまでも、全体の取り纏めを任されるイメージです。
役職も日本で働いていたときよりも上がり、管理部門のTOPである部長クラス(GM)で赴任することが多いです。
なので、海外駐在に選出を希望する場合にはマネジメントを早期から学んでおくことをおすすめします。
マネジメントが学べる本→【プレイングマネージャーにおすすめの本5選】係長にも読んで欲しい書籍を紹介
【参考】経理マンの海外駐在の仕事内容はCFOと似ている
海外駐在の業務はCFOと似ている仕事が多いです。
現地の社長が意思決定をするために有用な情報を提供するのが主な役割となります。これはCFOの役割そのものです。
なので、海外駐在から帰任後にベンチャー企業のCFOなどに転職する方は多いです。
事前にCFOに関連する本を読むと海外駐在の経理の仕事内容がイメージが具体的に掴みやすいので、海外駐在に興味がある方は1度読むことをおすすめします。
CFOになりたい方におすすめな本→【CFOを目指す人におすすめな本5選】経理のキャリアが学べる書籍を紹介
【宣伝】経理のキャリア相談を承ります
経理のキャリアは多種多様なプランがありどの道を目指すかで優先して経験・勉強すべきことは異なります。
例えば、
- 年齢
- 将来経理以外の職種につきたいか
- マネジメントをしたいか
- 制度会計、税務、管理会計、財務、原価計算のどれを武器とするか
- 未経験から経理になるには何をしたら良いか
貴方が置かれている状況をヒアリングして、貴方に最適なキャリアプランをアドバイスさせていただきます。
また、キャリアに関する質問にも回答させていただきますよ。
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【結論】経理から海外駐在員になる方法は3つ
経理から海外駐在になる方法は大きく分けて3つあります。
- 社内異動を待つ:英語力が低くても可能
- 海外駐在員候補として転職:英語力は多少は求められる
- 海外駐在員として転職:英語力が必要
社内異動で駐在員となる場合には、長年の勤務実績が考慮されるため英語力が低くても駐在員に選ばれることはあります。しかし、海外赴任前提での転職となる場合には、他の候補者と差別化をする必要があるので英語力が求められるますよ
赴任後は社内異動であれろうと、転職組であれろうと日常会話レベル英語力があることが望ましいです。
① 社内異動で海外駐在を目指す方法
まずは、社内異動から紹介しますね。
大前提として海外子会社が複数あって、海外子会社の管理部門に経理部門から駐在員を派遣している実績がある企業でないと、海外駐在の望みはないです。前例がないことを企業はしない傾向が強いので、この場合は転職して海外駐在を狙った方が、海外駐在に行ける可能性が高いです。
駐在員に選出される見込みが高い人材は、下記の要件を満たすことが大事です。
- 海外駐在を強く希望すること(上司へのアピールが最重要)
- 社内調整ができること(簡単に言えば、他部署の管理職とどれだけ気軽に話せるかです)
- 出世コースに乗る若しくは、主任クラスになること(幹部候補にマネジメント経験を積ませるため海外子会社に赴任させることが多いため)
- 英語力(苦手でない程度、最初は話せなくてもOK)
- 単体決算業務と連結決算業務の経験があることが望ましい
海外駐在員は細かい業務よりも、経理業務の全体像は理解していることが大事となります。
経理業務の流れが分かる本→【中小企業の経理実務の勉強におすすめな本5冊】分かりやすい書籍を紹介
海外駐在員に求められる経理の実務経験
単体決算業務と連結決算業務について一通り経験があると駐在後の経理知識としては十分です。
特に連結決算を担当していれば、親会社が何を求めているか即座に理解できますので仕事が楽になります。
しかし、駐在員は実務処理能力はそこまで重視されません。最低限の知識があればOKぐらいの認識です。
駐在員の主な仕事は子会社と本社の調整役と現地社長の補佐なので、ほとんど実務はやりません。指示を出して現地人をマネジメントすることが重要となります。
例えば、本社から全社で会計処理を変更するから、現地監査法人に処理の妥当性を確認して欲しいなど、各部門から様々な依頼が来ます。
その処理を現地メンバーに指示して完遂することが、業務の大部分となりますので、マネジメント能力と社内調整能力が非常に大事です。
調整力が学べる本→【交渉力が身につくおすすめの本】折衝力を高めるのに役立つ書籍を紹介
海外駐在候補に社内での選出されるには社内人脈も大事
海外駐在に行くには2つの関門があります。
1つ目は、経理部門が駐在に出す推薦をすること。2つ目は受け入れ側の現地社長が推薦した人材を受け入れることです。
なので、部門内で希望を伝えて信頼を得るだけでなく、現地社長の信頼を得る必要もあります。
海外駐在の選出方法のイメージは、【経理部 課長・部長の推薦→経理役員の承認→人事役員の承認→現地社長の承認→本社社長の承認】のような感じです。企業により多少は異なりますが、多くの部門や役員の承認を取る必要があります。
しかし、現地社長と直接仕事をする機会はないと思います。その場合には現地社長は社内の知り合いに評判を事前に聞きます。
なので、その時に評判が悪いと受け入れを拒否されてしまいます。 なので、社内人脈はかなり大切です
社内人脈は部門間調整など部門間をまたがる調整業務を丁寧に仕事すると自然と得られます。
海外駐在候補に社内での選出されるには時の運もある
社内異動を狙うには、運の要素もあります。
例えば海外駐在を希望していて、かつ優秀な人材がいたとします。
しかし、その人材が本社で重要なプロジェクト(例えば、IFRS導入など)を担当していれば、そのプロジェクトが終了するまで絶対に海外駐在に選出されません。本社の課長、部長が推薦をしないためです。
社内異動を狙う場合は、タイミングが来るまでは気長に海外駐在に行きたいとアピールしましょう。
早急に駐在に行きたい場合には転職で海外駐在を目指しましょう。
社内で海外駐在候補者に求めれる英語レベルは低い
英語力は駐在員に内定する段階では求められません。それよりも社内人脈や経理の業務経験が優先されます。
しかし、海外で仕事・生活するにはある程度は話せる必要がありますので、赴任が決まったら直ぐに準備することをお勧めします。
英語ができず、通訳に頼ってばかりいると、いつまでも仲間と認識して貰えませんので仕事が捗りません。
TOEIC600点程度あれば社内での海外駐在は問題ありません。
もし、TOEIC600点の到達していなければ勉強を開始してアピールしましょう。
TOEICは単語をコツコツと勉強をすれば、600点は3ヶ月あれば必ず到達できますよ。
<おすすめの単語帳>
方法② 海外駐在候補としてグローバル経理に転職して海外駐在を目指す方法
グローバル企業の経理として海外駐在の可能性がある案件に応募するが、難易度と実現性の観点からおすすめです。
海外駐在前提の採用の場合は、高い英語力と経理経験を求められます。しかし、海外駐在の可能性に留まる場合には、海外駐在前提よりも採用基準が緩いことがほとんどです。
グローバル企業で海外駐在の可能性がある企業に転職した後に、本社などで活躍して数年後に海外駐在に社内異動をすることを狙います。
必ずしも海外駐在に行ける保証はありませんが、グローバル企業で海外勤務の可能性がある企業に転職すれば希望が叶う可能性が高いです。
実際に私もグローバル企業の経理に転職をした後に、海外駐在員になりましたので実績を残せば希望は通りますよ。
経理に強い転職エージェント→【経理に強い転職エージェントのおすすめ】未経験者と経験者別に紹介
方法③ 海外駐在員として転職して海外駐在をする方法
海外駐在前提の転職は求められるレベルは高いですが、採用されたら確実に赴任できるメリットがあります。
海外駐在前提とは、採用後1年後にアメリカ赴任が前提となるなど、応募要件などに海外駐在前提の旨が付記されている案件となります。この場合には、採用が決まれば確実に海外駐在となります。
では、転職で求められる要件はどのようなものでしょうか。
- TOEIC800点(会話可能レベル)
- 経理経験(5~7年)
- マネジメント経験(係長、主任クラス以上)
海外駐在前提の求人は、企業内部で海外駐在に行ける人材が枯渇している場合に実施されます。
転職で海外駐在前提の候補者に求めれる英語レベルは高い
外部からだと英語力は非常に厳しく判定されます。内部の場合は、社内業務に精通しているために多少甘めに評価します。
しかし外部からの転職の場合は、グローバル企業であれば当然に英語力が採用の基準になります。それが海外駐在前提であれば尚更です。
社内と異なり、内定を得るためには多くの候補者と差別化する必要があります。転職で海外駐在前提で採用されるには、他に候補者が沢山いることを意識しないといけないです。
つまり、他の候補者より自分を雇うメリットをアピールする必要があります。
【参考】経理が海外駐在員になるメリット
海外駐在員になる方法は分かったけど、実際に赴任してメリットがあるのかは気になりますよね。
これは断言しますが、メリットは非常に大きいです。
では、メリットを紹介しますね。
- 年収が高くなる(赴任手当などで年収が1・5場合程度に上がります)
- 出世が容易になる(海外駐在員は幹部育成の側面があるので、経験した人材は出世する傾向が強いです)
- 転職で高年収が狙える(海外駐在員は貴重なので、市場価値が上がります)
- マネジメント経験が若手から積める(数十人の部下を30代でマネジメントする経験ができるのは貴重です)
- 英語力が上がる(毎日使うので自然と向上します)
- 経理以外の業務の経験が積める(経理からキャリアチェンジしたい時に有効です)
- 人脈が築ける(社内の海外駐在員同士は勿論、社外の同じ国の駐在員とも仲良くなれます)
現地人との交流もあり、日本で毎日似たような業務に飽きてしまった人には、海外駐在は非常にオススメです。
最初は異国なので文化の違いで苦労することもありますが、1年程度すれば慣れます。
また、通常は赴任期間も3年~5年と期間が決まっているので、日本に戻れる見込みもあり安心感はあります。
【参考】自分の適職を科学的に調べてみる
自分の強みや適職が気になったら、科学的に適職診断をしてみてはいかがでしょうか。
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具体例を見て頂いた方が分かりやすいかと思いますので、私の結果を貼り付けます。
適職診断で使うのは、【職務適性】です。
実際に職務適性を見ると、経理が9と出ています。私自身も経理にとても向いていると考えていますので、分析の精度の高さが伺えます。
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仕事の価値観診断の纏め→【仕事の価値観の無料診断】転職の成功には適性を知るのが大事な理由
海外駐在に経理がなる3つの方法の纏め
海外駐在は誰でも経験できるものではありません。その中でも経理は海外駐在の可能性が高い職種です。
チャンスがある方は、海外駐在に行って市場価値を上げてみたらいかがでしょうか。
海外駐在を目指す貴方に読んで欲しい漫画があります。海外駐在のベテランである著者の経験を元にして書かれた漫画なので、駐在のイメージを掴みやすいです。海外駐在の全体像を掴みたい方にオススメの漫画となります。 気になる方は Kindle Unlimited で無料で読んでみて下さいね。
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