ベンチャー企業は大企業の年功序列とは異なる給与体系なので、未経験からでも早期に出世をすれば30代中盤でも年収1000万円を狙えます。
また、会社が拡大して成長すれば管理部門の規模も拡大するので将来は上場企業と同等の管理部門の規模になる可能性を秘めていますよ。
特に上場を目指すレベルになると、上場レベルの体制にするために早急に経理を増員したいと考えるので未経験者でも採用がされやすいです。
この記事では、ベンチャー企業の経理に未経験で転職を目指す方向けに、ベンチャー企業で働いた場合のメリットとデメリットを紹介します。ベンチャー企業の経理は、向いている方と向いていない方が分かれますので、メリットだけでなく、デメリットも把握することをお勧めします。IPO経験がある友人にヒアリングして纏めてみました。
では、纏めていきますね。
【前提】IPO準備の経理の特徴とは
まずは、IPO準備の経理の特徴を簡単に解説します。
IPO準備の経理は管理部門が発展途上の段階で勤務をするので、上場を目指す体制を整えるのが急務となります。
従って下記の特徴があります。
- 一人一人の裁量が大きく若手から出世を狙える
- 業務量は多く、業務はマニュアル化されていない
- 経理以外の仕事も行う
- 会社が成長していく実感を味わえる
- 業績は不安定な企業が多い
- 若手(20代で~30代前半)や未経験者を積極的に採用する
- IPOを経験すると経理の市場価値が上がる
上場を目指して社員が同じ方向を向いているので、仕事にスピード感があります。
経理としても、経営層が意思決定に必要な情報を素早く提供するなどやりがいを感じられことが多いでしょう。
実際の経理の業務は中小企業の経理と似ている箇所が多いので、中小企業の経理の実務書を読むとIPO経理のイメージがつきやすいですよ。
中小企業の経理の実務が学べる本→【中小企業の経理実務の勉強におすすめな本5冊】分かりやすい書籍を紹介
【参考】IPOの定義とは
IPOとは簡単に言うと、株式を上場することです。
経理の役目は上場をするために、管理体制を構築することが使命となります。
下記にIPOの定義を引用しておきますので、興味があったら読んでみてください。
Initial Public Offeringの略。一般的には、(新規)株式公開とも言われる。少数株主に限定されている未上場会社の株式を証券取引所(株式市場)に上場し、株主数を拡大させて、株式市場での売買を可能にする。
引用元 野村証券
新たに株券を発行して株式市場から資金を調達する「公募増資」や、以前から株主に保有されていた株式を市場に放出する「売出し」がある。
上場した企業は株式市場からの資金調達が可能になり、会社の知名度の向上によって、優秀な人材の確保が可能になるなどのメリットがある。一方で、投資家保護の観点から定期的な企業情報の開示(ディスクロージャー)が義務付けられる。
IPOとは何か詳しく知りたい場合にはまずはIPOに関連する本を読んでみてはいかがでしょうか。
<IPOの解説が分かりやすい本>
【結論】IPO準備の経理は激務なので覚悟が必要
IPO経理は正直に言えば、上場を達成するまでは激務となります。
IPO経理が激務な理由は大きく分けて3つあります。
- IPOの準備をしている企業は管理部門の人数が少ないので1人当たの業務負荷は高い傾向にある
- IPOの準備はイレギュラーな業務が多いので調べながら業務を進める必要があり時間が掛かる
- IPOはスケジュールが決まっているので準備期間がタイトな可能性がある。
IPO経理は激務ですが、上場準備の貴重な経験ができるメリットもあります。
なので、IPO経理の転職する前にIPO経理のメリットとデメリットは正しく認識をして自分に合っているかを確認することをお勧めします。
【長所】IPO経理に転職をするメリット6つ

まずは、IPO経理に転職をするメリットを纏めてみます。
箇条書きで上げていきますね。
- 20代後半~30代前半でも高年収が狙える
- IPO経理を経験できる
- 経理以外の業務経験をつめる
- 業務の裁量が大きい
- 経営層と距離が近い
- 未経験者でも転職しやすい
では、一つ一つ解説していきます。
①20代後半~30代前半でも高年収が狙える
冒頭でも記載しましたが、ベンチャー企業の大きな魅力は早期に高年収が得られることです。
特に経理の場合は、上場を成功させれば成果が認められるため上場後数年で部長クラスになることもあります。
ベンチャー企業は、社内で上場企業レベルの決算や開示業務を行える人材が枯渇しています。何故なら、IPO(上場)を将来考えているレベルの会社は、現状の経理担当者は上場企業レベルの経理は当然に未経験です。従って、未経験からのスタートでも既存のメンバーとの差がほありません。
例えば、25歳でベンチャー企業の経理に未経験者として転職し、順調にいった場合の昇格イメージは下記の図の通りです。
職位 | 年収 | 昇格期間 | 年齢 | 業務内容 |
メンバー | 300万~400万円 | 転職時職位 | 20代中盤 | 実務担当者 |
課長代理(アシスタントマネージャー) | 400万~500万円 | 転職後2年程度 | 20代後半 | 実務担当者&後輩指導 |
課長(マネージャー) | 500万~700万円 | 転職後4年程度 【IPO直後】 | 20代後半 | プレイングマネージャー(実務かなりします) |
部長(ジェネラルマネージャー) | 700万~800万円 | 転職後6年程度 | 30代前半 | マネージャー(実務あまりしません) |
CFO | 800万~1000万円 | 転職後8年程度 | 30代中盤 | 役員候補(完全に実務から外れます) |
部長、CFOまで経験すると、同水準の給与と職位で転職も容易なので、会社も選べる側になります。
CFOのキャリアを目指すためにおすすめな本→【CFOを目指す人におすすめな本5選】経理のキャリアが学べる書籍を紹介
②IPOの経験ができる
IPOの業務経験は、IPOを通じて経理部門を育てたことに価値があります。
IPOを成功させるためには、上場審査を受けて通過する必要があります。簡単に言うと、非上場の経理部門の会計レベルから上場の経理部門の会計レベルに引き上げる為の体制を構築するイメージです。なので、IPOを成功させると、経理部門を1から作ったのと同等の評価を受けます。
IPOを目指す会社は、実際にIPOを成功させた経理マンのノウハウを欲しがります。
経理は転職をしやすい職種なので、IPO経理の経理経験は転職で有利となります。
③経理以外の業務経験がつめる
ベンチャー企業は部門の垣根がないです。何故なら、単純に人がいないためです。
経理であれば、IRや内部統制は経理の管轄に入ることが多いです。大企業であれば、IRや内部統制は部門が異なることが多いです。
様々な業務を経験すると、CFOに必須の知識が身につきます。また、転職する場合にも経理以外の職種変更が可能となるので、応募できる求人が増えます。
IPO達成後にCFOに昇格できなかった場合は、別のベンチャー企業に転職活動するのがおすすめです。
ベンチャー企業は、経理を軸として様々な業務を経験している人材を非常に欲しています。
IPO経験があって、経理以外にもIRや内部統制も経験していればCFOクラスでの転職も十分に可能です。
④業務の裁量が大きい
ベンチャー企業の特徴は、若くして管理職になることができるので、自分自身で判断する機会が非常に多いことです。
大企業は課長クラスになるのが35歳以上が大半なので、若手は管理職の指示に従って作業する必要があります。
ベンチャー企業の場合は、メンバーの採用や評価を始めとした人事面、決算の取り纏めなど、中心業務を若手から一気に経験できます。これらの業務を若手から経験できることは、経理のキャリアアップに有益です。
自分自身で判断する力は資格勉強では得られません。若いうちから判断させて貰えるのは、ベンチャー企業ならではの貴重な経験です。
なので、1度マネジメントに関する本を読んで勉強してみると良いかもしれません。
マネジメントが学べる本→【プレイングマネージャーにおすすめの本5選】係長にも読んで欲しい書籍を紹介
⑤経営層と近くで業務ができる
会社の規模が小さいので、社長を筆頭に役員との距離感は近いです。
経営層と近いのは、将来の人脈づくりや、自分自身の意見をダイレクトにTOPに伝えられるメリットがあります。会社のTOPと気軽に話せる環境だと、仕事がしやすいです。
経営層の考え方や仕事の進め方は勉強になることも多いので、近くで学んでおいて損はありません。
⑥未経験者でも経理に転職をしやすい
IPOの準備をしている企業は管理部門の人材を上場に向けて急激に増員をします。
なので、経理が未経験であっても内定を得られる可能性が高いです。
特に簿記2級の経験者や、経理を少しでも触ったことがあるなら非常に有利になります。
IPO経理の求人や年収の詳細について興味があれば、無料で転職のプロであるエージェントに相談をしてみてはいかがでしょうか。
経理に強い転職エージェント→【経理に強い転職エージェントのおすすめ】未経験者と経験者別に紹介
【短所】IPO準備の経理に転職をするデメリット5つ
ベンチャー企業の経理(IPO経理)に転職をするデメリットも纏めておきます。
まずは、箇条書きで記載しますね。
- 労働時間が長い可能性が高い
- 業績が安定しない
- IPOを断念する
- 年功序列ではない
- 教育体制は期待できない
では、一つ一つ解説していきます。
①労働時間が長い可能性が高い
複数の部門の業務を担当するので、大企業の社員が2人~3人でやる業務をベンチャー企業は一人でやるイメージです。
人数が少ないので普段から忙しい傾向にありますが、特にIPO直前は上場審査に間に合わせるために終電帰りが続くこともあります。
上場して時間が経つにつれて残業は減少しますが、それまで40H前後の残業時間は覚悟する必要があります。
名ばかりの管理職に注意です。部下がいないにも関わらず管理職としている場合には、残業代を払いたくないために管理職にしている可能性があります。しかも、仕事内容は担当者レベルです。そのため、求人情報やエージェント、面接でしっかりと職位と業務内容を確認しましょう。
ベンチャー企業であっても、残業代をしっかりと支給している会社はあります。労働の対価はしっかりと貰いましょう。
労働時間を少しでも短くするにはExcelを使いこなせるかが重要となりますので、Excelは事前に勉強をしておくことをおすすめします。
経理の業務に必要なExcelが学べる本→【経理で使うExcelが学べる本5選】エクセルで業務効率化を狙える書籍を紹介
②業績が安定しない
大企業だと複数の事業を持っていたり、潤沢な内部留保があるため、不況が来ても倒産しにくいです。
ベンチャー企業は稼げる事業や顧客が一つに依存していたり、内部留保が少ないので、不況や外的要因を受けやすいです。数か月連続で赤字だと年収が下がったり、最悪倒産の可能性があります。
経理だと幸いに業績の悪化はいち早く分かるので、危ないと思ったら即転職しましょう。
私は業績不振で転職後1年で転職をした経験がありますが、コツを掴めば再転職で不利にならず上場企業に入社できました。
再転職が不利にならないコツ→【転職後1年で再転職は可能】経験者が不利にならないコツを解説
③IPOを断念する
IPOを目指していても、社長の方針転換で上場を目指さなくなる可能性があります。
ベンチャー企業(特にオーナー企業)の場合は、方針が急転換することはよくあります。何故なら、上場企業のように株主の目がないので、重要な方針転換が、TOPの意志で簡単にできてしまいます。
IPOは上層部が推進に積極的でなければ一切進まないのです。なので、上層部の方針が変わったら転職も視野に入れましょう。
④年功序列ではない
ベンチャー企業は実力主義なので、成果を上げないと昇給しません。
成果を上げなければ、転職の提示年収から下がる可能性もあります。大企業は、年収が下がることは役職定年を除いてほとんどないのが実情です。
ベンチャー企業は安定して給与が上がっていく仕組みではないので、大企業から転職する場合には注意が必要です。
⑤教育体制は期待できない
ベンチャー企業はマニュアルやシステムが完備されていないことが多いため、OJT中心の教育となります。
OJTで教える側も自分自身の業務が忙しいので、中々教育の時間が取れないです。付きっきりで教えて貰えることは稀です。
ベンチャー企業は自分自身で調べて学ぶ姿勢が強く求められます。
【参考】ベンチャー企業の経理に向いている人の特徴10個
では、箇条書きベースで纏めていきますね。
- 若手から責任ある仕事をしたい
- 実力で評価されたい(年功序列は嫌だ)
- 体力がある
- 将来CFOや役員を目指したい
- 定例業務よりも、自分で考えて仕事したい
- 経理キャリアを極めたい
- 転職が苦でない
- 変化に対応できる
- 若いうちに高年収を手にしたい
- 社内、社外とのコミュニケーションが得意
何個当てはまりましたか。7~8個程度当てはまればベンチャー企業に向いていますので、転職を検討してみてはいかがでしょうか。
【宣伝】経理のキャリア相談を承ります
経理のキャリアは多種多様なプランがありどの道を目指すかで優先して経験・勉強すべきことは異なります。
例えば、
- 年齢
- 将来経理以外の職種につきたいか
- マネジメントをしたいか
- 制度会計、税務、管理会計、財務、原価計算のどれを武器とするか
- 未経験から経理になるには何をしたら良いか
貴方が置かれている状況をヒアリングして、貴方に最適なキャリアプランをアドバイスさせていただきます。
また、キャリアに関する質問にも回答させていただきますよ。
ココナラで体験談をもとにキャリア相談を承っていますので良かったらご利用ください。→経理のキャリアアップ 経理の転職相談を承ります
【参考】自分の適職を科学的に調べてみる
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具体例を見て頂いた方が分かりやすいかと思いますので、私の結果を貼り付けます。

適職診断で使うのは、【職務適性】です。
実際に職務適性を見ると、経理が9と出ています。私自身も経理にとても向いていると考えていますので、分析の精度の高さが伺えます。
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IPO経理が激務かの纏め
IPO経理は向き不向きが分かれますので、事前にメリットとデメリットを把握をすると入社後にミスマッチが少なくなります
転職エージェントに相談して事前に会社の雰囲気などをヒアリングしてから入社はしましょう。
また、IPO準備をしている企業同士を比較するためにもなるべく多くの企業の面接を受けるのもおすすめです。
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