国際税務は年々複雑となっており、実務だけで学ぶのは難しく、専門書を用いて体系的に学習する必要に迫られています。
私は上場企業の経理で国際税務はメインで担当していますが、APA・BEPS2.0など従来の税務の知識だけでは対応できない業務が増えていますよ。
海外子会社を持つ企業は数百億円規模で納税額が変化することもあるので、国際税務は正確な理解が必須な分野と言えます。
この記事では、国際税務を勉強したい方に向けておすすめの本を紹介しています。実際に上場企業の経理の国際税務に係る業務で参考にした本なのでお役に立てるかと思います。
では、纏めていきます。
【前提】国際税務経験者は希少価値が高い【狙い目】
国際税務は経理系統のキャリアとして最も高年収が期待できます。
理由は大きく分けて3つです。
- 英語&税務の専門性を身につけた人材は希少性が高い
- 国際税務を必要とする企業は高年収
- 会計・税務の国際化の流れは進んでおり将来も需要が見込める
なので、国際税務の知識を体系的に身につけて実務を経験することは、自分の市場価値を高めるのに大いに役立ちますよ。実際に私も国際税務を3年経験した後からエージェントから来る紹介求人の年収が1000万円前後のものが増えました。
国際税務のキャリア相談や求人については経理に強みがあるエージェントを利用するのがおすすめです。
<国際税務に強い転職エージェント>
エージェント種類 | オススメなポイント | 体験談 |
リクルートエージェント | リクルートエージェントは求人数No.1 非公開求人の紹介、転職市場の動向、過去の事例などを考慮し、非公開求人も含めた多数の求人の中から最適な求人を紹介します。 | 【リクルートエージェントの特徴】体験談と評判からメリットとデメリットを解説します |
ヒュープロ | ヒュープロは士業・管理部門特化の転職支援サービスです。 上場/上場予定企業の管理部門(経理・法務)や税理士法人・会計事務所とのネットワークが非常に広く、 業界最大級のマッチング数や日本の主要都市をはじめとして全国9000件以上の掲載求人数を誇ります。 | - |
MS-Japan | 「管理部門特化型エージェントNo.1」として多くの実績と評価あり。 経理の知見があるキャリアアドバイザーが付くため、経理の転職には強い。 | 【MS-Japanの特徴】体験談と評判からメリットとデメリットを解説します |
【参考】国際税務に英語は必要なのか
国際税務と言うと英語が【MUST】と言うイメージをお持ちかもしれません。
しかし、実際に業務を行うと【MUST】ではなく、【WANT】のイメージです。
一般企業では現地に通訳がおり、国際税務など専門用語が飛び交う会議は通訳が参加してくれることが多いです。
私は日常会話レベルの英語力ですが、国際税務の業務で英語力が理由で業務を行えなかったことはありません。
なので、英語が苦手でなければ、一般企業の経理レベルであれば国際税務を担当できますよ。
しかし、国際業務関連を担当するBig4の方は英語が堪能だったので、コンサルティング系統では英語力が必須となりますね。
【結論】国際税務(移転価格税制)が分かりやすいおすすめの書籍5選
では、おすすめ書籍を纏めていきます。
まずは箇条書きで紹介します。
では、一つ一つ解説していきますね。
【初学者向け】国際税務をマスターしたい!と思ったとき最初に読む本
<内容>
国際税務の重要性から全体のイメージを専門用語抜きで解説しています。本書を読めば国際税務の基本的な知識は抑えられますよ。
<実際に読んでみて>
国際税務に馴染むには、まずは全体のイメージを掴むことが重要です。難解な用語を使わずに解説をしている本書であれば、初学者にも受け入れやすいです。国際税務を初めて担当する方におすすめな本です。
【初学者向け】チャレンジ! 移転価格税制
<内容>
移転価格税制を中心に、国際税務で実務において直面しやすい課題を解説しています。本書を読めば一般企業の国際税務で必要な知識が身につきます。
<実際に読んでみて>
本書は会話形式なので読みやすく、経理の実務を理解した上で解説をしてあるので、実務で手元に置いておくと役立ちます。国際税務の担当者にはおすすめの本ですよ。
【実務者向け】国際税務 グローバル戦略と実務
<内容>
海外子会社を含めた全社の税金をどのように節税するか、リスクを回避するか、の戦略が解説されています。本書を読めば大企業でのタックスプランニングの基本が理解できますよ。
<実際に読んでみて>
国際税務のコスト低減のアイディアを学べる書籍は少ないので、節税の検討の手助けとして役立ちます。国際的な節税対策を担当している方にはおすすめです。
【実務者向け】国際税務ハンドブック(第4版)
<内容>
Pwc税理士法人が国際税務の論点となる箇所を網羅して解説しています。本書を読めば国際税務の基本的な知識から応用論点まで、ほとんどカバーできます。
<実際に読んでみて>
本書は網羅性が高いので、国際税務の論点について辞書的な役割ができます。国際税務専門で担当をしている方など、国際税務について高度な知識が求められる方にはおすすめの本です。
【実務者向け】国際タックスプランニングの実務
<内容>
タックスプランニングを事例形式で解説している本です。本書を読めばタックスプランニングが実務でどのように実践されているか理解できます。
<実際に読んでみて>
スタバなど身近な企業のタックスプランニングが掲載されているので、内容に興味を持てて読み物としても純粋に面白いです。タックスプランニングの身近な事例から実務を学びたい方におすすめの本です。
【参考】国際税務の勉強には基本的な法人税の知識があると良い
国際税務の業務内容は、日本の法人税の業務内容と密接に関係しているので、法人税の基本的な知識があると国際税務も理解できますよ。
また、各国の税額計算の考え方と、日本の法人税の会計の利益から税務上の調整項目を加減算する考え方は根本的には同じです。
なので、国際税務を勉強するときは、法人税の勉強も合わせて行うと効率的に行えますよ。
<法人税を学ぶためにおすすめ検定>
- 法人税法能力検定(1級~3級)→全国経理協会公式HP(法人税法能力検定)
1級でも優しめの基本的な問題で構成されており、勉強すれば確実に合格できるレベルです。
しかし、1級~3級を学べは税務担当として必要な知識を体系的に勉強できるのでおすすめですよ。1級まで勉強すれば、基本的な法人税の業務は一人で作業できるレベルになります。
勉強方法は公式テキストを利用すれば、独学でも全く問題なく合格できます。
法人税法能力検定の公式テキスト
グループ通算制度が理解できる本→【グループ通算制度とグループ法人税制】が勉強できる本【経理おすすめ書籍を紹介】
国際税務を学ぶのにおすすめな本の纏め
国際税務は税理士試験でも勉強をしない分野なので、自分で本を読んで勉強をする必要があります。
しかし、逆を言えば国際税務を身に付ければ経理の市場価値は高くなり、高年収を狙えますよ。
国際税務は資格や検定がないので、本やセミナーを活用して勉強してみてはいかがでしょうか。