簿記2級を合格した直後に簿記1級を目指す方が多いですが、少し立ち止まって次の資格と行動を考えてみませんか?
貴方の置かれている状況によって簿記1級以外にも、キャリアアップに最適な資格があるかもしれません。
上場企業の経理の立場からタイプ別におすすめの資格を紹介します。
この記事では、日商簿記2級に合格した方に向けて、次に目指すべき資格や行動を提案します。実際に経理部で働いているので、実務に役立つ資格や転職で有利になる資格には詳しいです。日商簿記2級からスキルUPを目指している方は是非みてくださいね。
では、纏めていきます。
【前提】日商簿記2級の後に日商簿記1級は必ずしも正解でない
日商簿記2級合格をした多くの方は、キャリアアップのために日商簿記1級を受ける方が多いです。
しかし、日商簿記2級の次に日商簿記1級を受ける場合には下記の3つの問題点があります。
- 日商簿記1級と日商簿記2級の難易度の差が大きいため勉強のやる気を失う
- 日商簿記1級の転職での評価は取得難易度を考慮すればコスパは悪い
- 日商簿記1級の知識は上場企業など大企業で使用することが多いので必ずしも実務に役立つとはいえない
日商簿記1級の難易度は科目単位で考えれば、USCPAや税理士試験の1科目より難易度が高いです。
なので、日商簿記1級を目指す場合には、日商簿記1級を取得する理由を明確にしてモチベーションを保ちましょう。
社会人の勉強方法のヒントとなる本→【社会人が勉強のやる気UPに繋がる本5選】勉強方法を工夫してモチベーションを上げよう
【宣伝】経理のキャリア相談を承ります
経理のキャリアは多種多様なプランがありどの道を目指すかで優先して経験・勉強すべきことは異なります。
例えば、
- 年齢
- 将来経理以外の職種につきたいか
- マネジメントをしたいか
- 制度会計、税務、管理会計、財務、原価計算のどれを武器とするか
- 未経験から経理になるには何をしたら良いか
貴方が置かれている状況をヒアリングして、貴方に最適なキャリアプランをアドバイスさせていただきます。
また、キャリアに関する質問にも回答させていただきますよ。
ココナラで体験談をもとにキャリア相談を承っていますので良かったらご利用ください。→経理のキャリアアップ 経理の転職相談を承ります
【結論】日商簿記2級の合格後のステップにおすすめな資格
では、まずは日商簿記2級後におすすめな資格を纏めていきます。
<日商簿記2級合格後の進路一覧表>
No | タイプ | 現在の職種 | 将来の希望職種 | 転職の希望 | 資格と行動 | 取得時間目安 ※2級取得後 | 備考 |
① | 独立志向 | ー | ー | ー | 税理士 | 5~7年 | 経理関係で独立を考えているなら、目指す資格は税理士一択。 受験資格がない方は全経上級or日商簿記1級の取得が最優先 |
② | 自己研鑽 | 経理 | 経理 | × | 全経簿記上級 | 500H | 直ぐには転職を考えていない方で、少しずつスキルUPしたい方向け。 いきなり日商簿記1級が難しいと感じる場合におすすめ。 |
③ | 転職希望 (英語を使わない会社) | 経理 | 経理 | ○ | 日商簿記1級 | 800H | 英語を使わない会社への転職で給与UPを狙いたい方向け。 英語力のアピールは必要がないので、日商簿記1級が有利。 |
④ | 転職希望 (英語を使う会社) | 経理 | 経理 | ○ | TOEIC800点 | 600H ※300点 スタート | グローバル企業は日商簿記1級よりも、日商簿記2級+TOEIC800点が有利。 TOEIC800点を取得していればUSCPAがおすすめ。 |
⑤ | 経理未経験 | 経理以外 | 経理 | ○ | 全力で転職活動 | ー | 経理未経験であれば、全力で転職活動。 経理は実務経験を積むのが年収UPの近道。 35歳超であれば、税理士試験の挑戦がおすすめ。 |
では、次は各タイプごとに細かく解説していきます。
①簿記2級合格後に税理士を目指すパターン
サラリーマンを辞めて将来独立を目指している方には、税理士は魅力的な資格です。
独立志向の方に税理士がおすすめな理由は主に4点です。
- 税理士は独占業務があるので独立に適している
- 科目合格制度があるので、働きながらでも合格できる
- 5科目で税理士になれるが、2科目は夜間の大学院で論文を書くことで免除が可能
- 日商簿記2級と税理士試験の試験範囲は被るので勉強時間が節約できる
税理士試験の最大の利点は、科目合格制度と大学院免除を使えるので働きながらリスクを抑えて合格を目指せることです。
私も実際に税理士試験の4科目を働きながら合格しており、残りの1科目はタイミングを見て海外赴任の間に合格を目指すつもりです。
税理士試験は受験期間が長期に及ぶことが想定されますので、生半可な気持ちでやると撤退することになります。税理士試験の受験に不安があれば、受験資格があっても全経簿記上級と日商簿記1級をまずは目指すことをおすすめします。
取り急ぎ税理士試験の詳細が知りたい場合には大手予備校に無料のパンフレットを請求してみてはいかがでしょうか。
大原税理士講座のパンフレット→高い合格実績で選ぶなら資格の大原 税理士講
②簿記2級合格後に全経上級を目指すパターン
全経簿記上級は知名度は低いですが、税理士試験の受験資格として採用されており簿記の実力を図るには最適な試験です。
全経簿記上級を目指すのがおすすめな理由は3つです。
- 難易度が日商簿記2級と日商簿記1級の中間であるので合格しやすい
- 日商簿記2級・日商簿記1級と試験範囲が被るので勉強が無駄にならない
- 日商簿記1級と並行して受験することでモチベーションを維持しやすい
全経上級の特徴は基礎的な問題を出題するので、努力が結果に結びつきやすい点です。
日商簿記1級の合格率が10%前後なのに対して、全経簿記上級は15%前後なので明らかに全経簿記上級の方が受かりやすいです。
なので、日商簿記1級の前or並行して全経簿記上級を目指すことを検討してはいかがでしょうか。
全経簿記上級の弱点としては、知名度が低い点です。転職活動では日商簿記1級の方がアピールしやすいです。
【参考】全経簿記上級検定とは
全経簿記上級検定は公益社団法人である全国経理教育委員会が運営している検定となります。
資格の説明は下記にて引用しております。
将来、企業で経理事務を担当しようとしている人には必須の検定試験です。
公益社団法人 全国経理教育委員会 公式サイトより
どのような組織においても、優れた簿記能力・経理能力は常に求められているので、
資格を取得すれば就職の際には心強いスキルとなります。
また「上級」に合格すると、税理士試験の受験資格が与えられます。
公益社団法人の全国経理教育委員会が運営する簿記検定は、商業高校でも採用実績があるので信頼性は高いです。
【おすすめテキスト】全経簿記上級の対策
全経簿記上級を試しに受けてみたい方には、コスパが良いテキストを紹介します。
全経簿記上級は基礎的な問題が多いので、時間を掛ければ独学でも合格を目指せます。
主催者である全国経理教育委員会が発行しているテキストで学ぶのが合格の近道です。これらのテキストを基に試験問題が作成されるので公式を抑えるのが効率的です。
③&④ 簿記2級合格後に簿記1級orTOEIC800点を目指すパターン
経理で現在も働いていて転職で年収UPを狙っている方には、貴方の働き方によって目標とする資格が異なります。
- 英語に係る仕事は一切したくない→日商簿記1級
- 英語に係る仕事をしても良い→TOEIC800点
日商簿記1級でも国内を中心に事業を展開している上場企業に転職すれば年収UPの可能性はあります。
しかし、年収UPの観点だけで考えれば、TOEIC800点を取得してグローバル企業に転職した方が年収UPの幅も大きいです。
これは、平均年収が高い企業はグローバル企業(例、日立・トヨタなど)に偏っているためです。
年収UPには、平均給与が高い企業に転職が必要となります。なので、日商簿記2級だけでなく、日商簿記1級かTOEIC800点を取得して、他の候補者と差別化しましょう。そうすれば年収が高い企業に転職できる確率が高くなります。
【比較】日商簿記1級 VS 日商簿記2級+TOEIC800点
日商簿記1級と日商簿記2級+TOEIC800点では、転職でどちらが評価されるのでしょうか。
答えは簡単で、業務で英語を使わなければ日商簿記1級です。逆に業務で英語を求めれるのであれば、日商簿記2級+TOEIC800点です。
< 日商簿記1級 VS 日商簿記2級+TOEIC800点の比較表>
資格 | 会計事務所・税理士法人 | 中小企業 | 国内売上中心の会社 ※鉄道・インフラ・サービス系統 | 海外売上中心の会社 ※メーカー全般 | 外資企業 |
日商簿記1級 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | △ |
日商簿記2級+TOEIC800点 | △ | △ | △ | ◎ | ◎ |
メーカーと外資企業を目指すなら、TOEIC800点を目指した後にUSCPAを目指すのがおすすめです。それ以外の会社であれば、日商簿記1級がおすすめです。
自分のキャリア志向に合わせて日商簿記1級かTOEIC800点を選択していきましょう。
大原税理士講座のパンフレット→高い合格実績で選ぶなら資格の大原 簿記1・2級講座
⑤簿記2級合格後転職活動がおすすめのパターン
経理が未経験の方で、経理に転職を考えている方は簿記2級を取ったら直ぐ転職活動をすることをおすすめします。
経理の転職は年齢が若いうち(20代前半)は実務経験は重視されません。しかし、20代後半から徐々に実務経験が重視されます。
なので、年齢が若いうちに経理へ転職して実務経験を積むのが、経理のキャリアで成功するには大切です。
経理未経験者の場合には、簿記1級など上位資格を取るよりも転職活動を優先することをおすすめします。
経理に強い転職エージェント→【経理に強い転職エージェントのおすすめ】未経験者と経験者別に紹介
【参考】自分の適職を科学的に調べてみる
自分の強みや適職が気になったら、科学的に適職診断をしてみてはいかがでしょうか。
選択式の質問に答えるだけで、科学的な根拠に基づいて貴方の適職を診断してくれるプログラムがあります。
コンピテンシー診断は、ミイダスが提供する無料の自己分析プログラムです。
貴方の選択した回答に基づいて、適職診断を自動で行ってくれる仕組みです。所要時間は約30分程度なので気軽に行えます。結果を見て頂ければ分かりますが、詳細に性格や職務適性を分析してくれます。無料なので気軽に試せるのでおすすめです。
具体例を見て頂いた方が分かりやすいかと思いますので、私の結果を貼り付けます。
適職診断で使うのは、【職務適性】です。
実際に職務適性を見ると、経理が9と出ています。私自身も経理にとても向いていると考えていますので、分析の精度の高さが伺えます。
※無料登録によりコンピテンシー診断が可能となります。
仕事の価値観診断の纏め→【仕事の価値観の無料診断】転職の成功には適性を知るのが大事な理由
簿記2級の次のステップアップできる資格の纏め
日商簿記2級の次の目標は見つかりましたか?
貴方のキャリアに合わせた目標を設定して勉強を継続してみてはいかがでしょうか。
勉強癖が無くなってしまうのは勿体無いので、難関資格に挑戦してみてはいかがでしょうか。
キャリアアップについて詳細を知りたい方には下記の本がおすすめです。経理の最高峰のキャリアであるCFOを目指すための具体的な指南書です。経理でCFOを目指したい方は、手元において繰り返し読むことで自分の価値を高めることに役立ちます。気になる方は Kindle Unlimited で無料で読んでみて下さいね。
Amazonの本が無料で読めるサービスは下記の記事で纏めていますので良かったら見て下さいね。
【30日間無料で本を読める】Amazonの電子書籍サービス3つを比較
経理のキャリアUPにおすすめな本→【CFOを目指す人におすすめな本5選】経理のキャリアが学べる書籍を紹介