ファイナンスは企業を発展させるために欠かせない知識です。
会計は企業の過去業績を記録することがメインですが、ファイナンスは将来の業績のために資金調達をどのように行うのかを主に学びます。
資金調達は利息や配当金など将来の業績に影響を及ぼすことがありますので、ファイナンスを学んで有利な資金調達の方法を選択しましょう。
この記事では、ファイナンスを勉強したい方に向けて、現役経理がファイナンスを学ぶのにおすすめな本を紹介します。実際に本社経理、海外子会社の経理部長としてファイナンスの業務を行っていますのでお役に立てるかと思います。
では、纏めていきます。
【前提】ファイナンスと会計の違い
そもそもファイナンスとは何かが気になりますよね。
ファイナンスは会計と対比すると分かりやすいので表に纏めていきます。
項目 | ファイナンス | 会計 |
時間軸 | 将来 | 過去 |
対象者 | 社内 | 社外 |
管理対象 | 現金 | 収益・費用 |
目的 | 資金調達の方法・資金の使用先の検討 | 業績の報告 |
ファイナンスと会計は全くの別物であり、ファイナンスは主に将来の企業価値を高めるために現金をどのように調達・使用するかを検討すると考えると大きな間違いはありません。
AIが発展すると単純に記録するだけの会計業務はAIに取って代わられる恐れがありますが、企業の固有の事情を加味しながら判断するファイナンスはAIに代替される可能性は低いでしょう。
ファイナンスは将来性が高い業務なので、体系的に業務を身につけてみてはいかがでしょうか。
【参考】ファイナンスを学ぶ順番
ファイナンスは様々な分野がありますが、学ぶ順番は下記の通りがおすすめです。
- 簿記などの会計の基本知識:ファイナンスは会計知識を前提に記載されるので会計の知識がないと勉強が厳しいです
- 初心者向けのファイナンスの本:ファイナンスの基本を一通り学びます(財務初心者や投資家などにおすすめめ)
- コーポレートファイナンス:社長(役員)や本社財務が会社全体の資金調達の最適化を学ぶのに必要な知識
- プロジェクトファイナンス:事業ごとの資金調達の妥当性の検討に必要な知識(コーポレートファイナンスの次に学ぶのがおすすめ)
ファイナンスは1~4までの知識を抑えておけば、上場企業からベンチャー企業のファイナンスで必要な知識は身につきます。
簿記などの会計の基本知識は目安として簿記2級レベルがあれば、ファイナンスに関する本を読んでも違和感なく読めますよ。
簿記2級のおすすめテキスト→【簿記2級の独学】におすすめなテキスト3選
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経理のキャリアは多種多様なプランがありどの道を目指すかで優先して経験・勉強すべきことは異なります。
例えば、
- 年齢
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- マネジメントをしたいか
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【初心者向け】ファイナンスの勉強におすすめな本3選

では、ファイナンスを学べる初心者向けのおすすめな本を紹介します。
まずは、箇条書きで纏めていきますね。
では、一つ一つ解説していきますね。
① 「知識ゼロ」の人のための 超ざっくり分かるファイナンス
<内容>
紙・電子版合計で16万部超を誇りファイナンス関連書籍ではダントツの人気を誇ります。
<おすすめポイント>
ファイナンス特有の難解な専門用語を平易な言葉に置き換えて解説しているので初心者にも読みやすいです。黒字倒産を完璧に説明する自信がなければ、本書から勉強を始めることをおすすめします。
② ゼロからわかるファイナンス思考 働く人と会社の成長戦略
<内容>
ひたひたと経営危機が迫る中堅メーカーの社長と3人の社員が「ファイナンス思考」を突破口に未来を切り拓く。本文とストーリー漫画による解説で、財務諸表の読み方・活かし方、ビジネスパーソンが経営視点で仕事をする術が、驚くほど簡単に理解できます。
<おすすめポイント>
ストーリー漫画形式でファイナンスが勉強できるので堅苦しくなくて良いです。ファイナンスに関する知識が0でもスラスラと読めるので経理マン以外にもおすすめな本です。
③ 増補改訂版 道具としてのファイナンス
<内容>
「理論先行」を廃し、最適な資金調達やプロジェクト選択など、ビジネス現場(日産自動車)で得た、実務に役立つ知識・方法をわかりやすく解説。
<おすすめポイント>
実務を元に記載されているので実際の仕事に応用できる考え方が沢山あります。基本のファイナンスだけでなく、実務で使えるファイナンスを学びたい方にはおすすめ本です。
【中級者向け】コーポレートファイナンスの勉強におすすめな本2選

では、次にコーポレートファイナンスを学べるおすすめな本を紹介します。
ファイナンス知識に不安がある方は、初心者向けの本を読んでから勉強することをおすすめします。
まずは、箇条書きで纏めていきますね。
では、一つ一つ解説していきますね。
① 新解釈 コーポレートファイナンス理論 「企業価値を拡大すべき」って本当ですか?
<内容>
多くのコーポレートファイナンス理論の解説書は、その初期設定が間違っている!?
あまりにも「実務」や「実用」のイメージが強くなったコーポレートファイナンス理論を、改めてミクロ経済学から派生した理論群として学び直す、画期的な入門書が登場。
<おすすめポイント>
敢えて実務から離れて学者目線でコーポレートファイナンス理論を解説しています。コーポレートファイナンスの本来あるべき姿を解説している点は新鮮で面白いです。実務とは違った観点からファイナンスを学びたい方におすすめな本です。
② コーポレートファイナンス 戦略と実践
<内容>
ファイナンスや会計の書籍を読んだ読者から最も多く耳にするのは、「一通り読んで理解はできたような気がするのだが、実務で使える気がしない」という声。本書はこの理論と実務の間に「橋をかける」ための本です。
<おすすめポイント>
ケーススタディで解説しているので実務で類似の問題が生じたときに参考にできるのでありがたい。ベンチャーの企業価値算出からIR、株主還元政策まで解説しているので、上場企業・ベンチャー企業の財務の双方におすすめできる良書です。
【上級者向け】プロジェクトファイナンスの勉強におすすめな本2選

では、最後にプロジェクトファイナンスを学べるおすすめな本を紹介します。
プロジェクトファイナンスは初心者には難解なので、プロジェクトファイナンスだけの本を最初に読むのはおすすめできません。
まずは、箇条書きで纏めていきますね。
では、一つ一つ解説していきますね。
① わかりやすい プロジェクトファイナンスによる資金調達 ――インフラ投資を実現する
<内容>
セキュリティーパッケージの交渉について、コマーシャルリスク、ポリティカルリスク、フォースマジュールリスクといった各リスクについて、貸手(レンダー)側はどう考え、それに借手(スポンサーやSPC)側はどう対処すべきなのかを、立場ごとに説明。他ではなかなか読めない、必見のコンテンツです。
<おすすめポイント>
インフラ系統だけでなく、海外投資案件の検討に役立つ知識が得られる本です。専門用語や、一般用語でもプロジェクトファイナンスの現場では特有の使い方がされるものについて、解説を付した用語集が付いているので辞書代わりにも使えます。
② [新版]プロジェクト・ファイナンスの実務―プロジェクトの資金調達とリスク・コントロール
<内容>
経験豊富なプロがノウハウを詳しく解説!待望の全面改訂で最新の金融技術・情報を満載。実際の経験に基づいた事例を多数紹介。国際開発金融機関・各国公的金融機関の業務や具体的な活用法を網羅。
<おすすめポイント>
ケーススタディで解説しているので難解なプロジェクトファイナンスもイメージがしやすいです。ファイナンスの基本を一通り理解をしていれば、実務経験なしでも何とか理解ができるレベルの本です。
【参考】自分が経理に向いているか調べてみる
自分が経理に向いているかが気になったら、科学的に適職診断をしてみてはいかがでしょうか。
選択式の質問に答えるだけで、科学的な根拠に基づいて貴方の適職を診断してくれるプログラムがあります。
コンピテンシー診断は、ミイダスが提供する無料の自己分析プログラムです。
貴方の選択した回答に基づいて、適職診断を自動で行ってくれる仕組みです。所要時間は約30分程度なので気軽に行えます。結果を見て頂ければ分かりますが、詳細に性格や職務適性を分析してくれます。無料なので気軽に試せるのでおすすめです。
具体例を見て頂いた方が分かりやすいかと思いますので、私の結果を貼り付けます。

適職診断で使うのは、【職務適性】です。
実際に職務適性を見ると、経理が9と出ています。私自身も経理にとても向いていると考えていますので、分析の精度の高さが伺えます。
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仕事の価値観診断の纏め→【仕事の価値観の無料診断】転職の成功には適性を知るのが大事な理由
ファイナンスの勉強におすすめな本の纏め
ファイナンスは会計より難解と言われていますが、資格がないので勉強をしにくいだけです。
しっかりと本で体系的に勉強をすれば、ファイナンスも自分の武器として使えます。
ファイナンス領域は将来も需要が高い領域になるので、一度本気で学んでみてはいかがでしょうか。